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「IT版トヨタ」は登場するか?

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佐々木俊尚さんの『ウェブ国産力 日の丸ITが世界を制す』を読了。この本には弊社も登場するので、「会社の宣伝?」と誤解されてしまうかもしれませんが、特に深い意図はありませんのでご容赦下さい。

タイトルを見て「おお、最近のユニークなウェブサービスを取り上げてくれるのかな?」と期待したのですが、実は「検索」に焦点が絞られています。その意味では「国産力というタイトルにするなら、もっと取り上げて欲しいサービスがあったのに……」と感じる面がありました。しかし今後のIT業界は「検索」というキーワードを避けては通れませんから、最も熱い分野を知ることができる本には違いありません。

「検索と言っても、既に Google という巨人がいるじゃないか。何をいまさら」という問に対して、本書ではまだまだ未踏の領域があることを示しています。上でわざわざ「検索」とカッコ付きで書いたのもそれが理由。例えばケータイを使ったライフログ的なデータを活用するアイデアや、テキストマイニングによって事故原因を調べる技術など、様々な「検索」の例が取り上げられています。

大きく分けると、検索における未踏の領域には以下の2つが考えられます:

  1. これまで元データの対象とされていなかったものを対象とする
  2. これまで出せなかった答えも出せるようにする

Google の検索は、あえて言い切ってしまえば「ウェブサイト上にあるデータを探す技術」です。ウェブ上にないものは検索できませんし、探せるのは「○○という条件に合致するデータ」でしかありません(もちろん Google は日々技術革新を行い、新しいサービスを登場させていますが)。しかし、例えばケータイを通じてライフログを取得・それをベースに精度の高いレコメンデーションサービスを行うというケースの場合、1. これまで対象となっていなかった「ケータイの中にあるライフログデータ」を活用し、2. これまで出せなかった「ユーザー個人がその時・その場面で本当に必要とする答え」を出す、という点が従来の検索にはない側面となります。こう考えれば、他にも日本の「国産力」を発揮する様々なケースが考えられるでしょう。

もちろん未踏の領域があり、いま我々が持っている装備でそこを探検・一番乗りできそうだと分かっていても、実際にできるかどうかは別の話です。技術力があるのに「日本版 Google」が登場していないのは、それを阻害する要因があるからに他ならないわけで、それを取り除く努力が必要でしょう。本書でもそんな障害があることが指摘されているのですが、では解決策はというと「情報大航海プロジェクトに期待」という話で終わってしまっています。個人的にはこちらの問題、つまりどうやって「IT版トヨタ」的な企業を育てるか、という話の方に興味があるところなので、ぜひ続編を期待したいと感じた次第でした。

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