教育メディアとしてのケータイ小説
ケータイ小説については、性や暴力など過激な内容が描かれていることを問題視する声がたびたび上げられています。また文章のスタイルについても、「従来の小説とはかけ離れている」として敬遠する声が強いわけですが、だからといって若者にとって重要なメディアであることを無視できません。逆に若者に近いメディアであることを利用して、性教育に役立てようという動きが出ているそうです:
■ 「性」学べる携帯小説 産科医が出版 (asahi.com)
東京の産婦人科医、須藤なほみさんが出版したケータイ小説『ラブ・コミュニケーション』について。内容は女子高生の主人公と、大学生の彼氏をめぐる恋愛小説で、避妊や感染症についての知識を学べる仕組みになっているそうです。単に「小説仕立ての教材」ではなく、
人気のケータイ小説を読み込み、短い文章や改行の多用など独特の「作法」を習得。マンガのような読みやすさを心がけた。
ということで、ケータイ小説に特有のスタイル(参考:ケータイ・フォーマット)で書かれているとのこと。
須藤さんは3年ほど前から、性教育の携帯サイト「Dr.なおみのラブ&バディカフェ」を開設しており、ケータイを通じて正しい知識の普及につとめてきたそうです。今回のケータイ小説もその一環なわけですが、若者が触れやすい形で知識を提供するという点で、非常に理にかなった行動ではないでしょうか。もちろん携帯サイトでも、(PC並にラクに検索して発見してもらえはしないでしょうが)自主的に知識を探している人々には知識を提供することができるでしょう。しかし端から知識を求めていない人々や、どうやって探したらいいか分からない人々に語りかけるには、普段若者が接しているメディアに知識を置くという手段が最適なはずです。
以前にも、こんなニュースを紹介していました:
ポッドキャストとケータイ小説、形は違えど、若者に近い存在のメディアという点は一緒です。「ケータイ小説なんてクダラナイ」と言ってしまうのは簡単ですが、若者が支持しているという点に注目して、言葉は悪いですが「利用する」姿勢がもっとあっても良いのではないでしょうか。