在宅勤務は、オフィスで働く人々に悪影響?
ITC技術の発展により、いつでも・どこでも仕事ができる時代になりました。在宅勤務者が享受するメリット・デメリットについては様々な研究結果がでていますが、在宅勤務が「在宅勤務していない」人々に与える影響を調査した研究が発表されたとのこと。
■ Study: Telecommuting makes work worse for non-telecommuters (ars technica)
その核心部分がこちら:
Until now, virtually all of the studies performed on telecommuting have focused on the benefits for employees and their employers. Timothy Golden, associate professor in the Lally School of Management & Technology at the Rensselaer Polytechnic Institute, sampled 240 professional employees from an unnamed medium-sized company to observe how telecommuting affects employees who stay in the office. Golden found that in-office employees took less satisfaction in their jobs and felt less of a relationship and obligation to their company as the number of telecommuting coworkers grew.
これまで在宅勤務に関する研究では、在宅勤務を行う労働者や雇用者の利益に焦点を当ててきた。Lally School of Management & Technology の Timothy Golden はある会社に勤める240名の従業員を対象に調査を行い、在宅勤務が在宅勤務を行っていない従業員にどのような影響を及ぼすかを調べた。その結果、在宅勤務を行う従業員が増えれば増えるほど、オフィスに通勤しなければならない従業員の仕事に対する満足度や、会社への帰属意識や義務感が薄れることが判明した。
とのこと。ただし在宅勤務者の増加が非在宅勤務者の不満に直結するわけではなく、適切なケア(顔を合わせてコミュニケーションを行う機会を設ける、オフィス作業者にも裁量権を与えるなど)を行えば問題は避けられる、という結果も出たそうです。
経験則で失礼致しますが、確かに在宅勤務が許されている人・許されていない人が混在していた場合、オフィスに来なければいけない人が不満を持つという状況は生まれやすいと思います。片方は「毎朝満員電車に揺られて通勤」、もう一方は「自宅でコーヒー飲みながら仕事」となれば、そりゃ在宅勤務者に対する妬みも生まれるというものですよね。その意味で今回の結果は驚くものではありませんが、明確に調査結果が出たことで、今後は「在宅勤務」という形態だけに注目するのではなく「在宅者・非在宅者のチーム全体としてどうやってモチベーションを高めるか」ということが注目されるようになっていくと思います。
その意味で、在宅勤務の増加というのは逆に「オフィスで仕事するとは何か」という問いに目を向けさせることになるのでしょうね。逆説的ですが、オンライン上のコミュニケーションが増えることで、オフライン・コミュニケーションの位置付けが再編される……ということにつながるのではないでしょうか。