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歴史をネタにブログを書こう

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齋藤孝さんの『齋藤孝のざっくり!日本史』を読了。これも書店に平積みされていたものが気になり(白地に丸いリンゴが描かれていて、日の丸を彷彿とさせる)、購入してしまったもの。タイトル通り「ざっくり」していたので、すいすい読み進めることができました。

この本、「日本史」というタイトルは付いていますが、いわゆる「歴史の教科書」だとは考えない方がよいでしょう。もちろん日本史を扱ってはいるのですが、ピックアップされているトピック(廃藩置県や大化の改新など)に関連性はなく、全体を読んで何かを得るという構成ではありません(強いて言えば、日本人の優れている点を日本史の中に探してみよう、といったところがテーマでしょうか)。また(歴史学的に正しいと合意されている説ではなく)齋藤さんの個人的な見解、といった記述もあちこちに。個人的な印象をお許しいただければ、この本は「日本史をネタに、齋藤孝さんが書いたブログ」という表現がピッタリではないかと思います。

『ざっくり!日本史』の最後は、次のような文章で締められています:

以上、まさに「ざっくり」と日本史を大きな見方で括ってみました。読者の方には、異論のある部分もあるかと思いますが、一つの刺激剤、一つの歴史の読み方としてとらえていただければ幸いです。

大事なところを、ざっくりと自分なりの視点でとらえてみることは、大人ならではの歴史の楽しみ方だと思います。ぜひ、みなさんも、強引なものでも構いませんので、自分なりの仮説を立てて、日本史を楽しんでみてください。

つまりこの本は「歴史をネタに、みんなで楽しもうぜ!」というのが趣旨なわけですね。確かに、その性質上仕方のないことですが、教科書の記述は無味乾燥なものです。例えば「大化の改新」なら、「中大兄皇子らが蘇我入鹿を暗殺し、蘇我氏を滅亡に追い込んだ」というのが教科書において許される説明でしょう。しかしそれは単なる「事実」(最近では創作なのではという説もあるそうですが)という情報であって、何の価値判断も入っていません。そこに「これってクーデターでしょ?」「いやいや、藤原氏が話を大きくしただけだ」などといった意味づけを行うこと、齋藤さんご自身の言葉で言えば「文脈を見つけていくこと」が歴史の勉強を楽しいもの・単なる暗記競争以上のものに変えていくわけですね。

考えてみれば、多くのブログがこのような「(ニュースや事実に対する)意味づけ/文脈定義」を行っているのではないでしょうか。例えば「Google が Knol というプロジェクトをスタートさせた」というのは単なる事実で、これだけ聞いても何も楽しくありません。これに「Knol こそ匿名ウェブの終焉を告げるものだ!」的な文脈を見いだし、世間に表明することによって「よく言った」「何言ってんだ」という楽しい(?)議論が起きるわけです。その意味で、今回の齋藤さんの本は「歴史をネタにブログ的な文章を書く」という行為なのではないかと感じた次第です。

とすれば、「日本史ブログ」「世界史ブログ」的なものがもっと盛んに行われてもいいかもしれませんね。また残念ながら僕はとっくの昔に(?)大学受験というものを卒業してしまいましたが、これから日本史や世界史で受験しようという学生の方は、「今日学んだ内容でブログを書く」というのがよい勉強法になるかもしれません。

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