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「サービス精神」は真似できない

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昨日、あるブログの記事が、ネット上で大きな話題を集めました。ご存知の方も多いと思いますが、ちょっとご紹介したいと思います:

任天堂のすごさを垣間見たとき (ksh Days)

自宅にあった2台の NINTENDO DS を修理に出したところ、期待を上回るサービスを受けて驚いた、という話。木曜日の夜10時に公開された記事ですが、現時点で592ものブックマーク(はてブのみ)を集めています。蛇足気味に内容をまとめてみると:

  • 妻と子供のDS、2台を同時に修理に出すことにした。
  • 修理のご案内」から修理を依頼すると、梱包用の箱が送られてきて、それに入れて送付。
  • 妻のDSが先に返ってきたが、「本来なら有料になりますが、無料とさせていただきます」とのことで0円(本体交換)。
  • 後から子供のDSも到着。こちらも本体交換で、「本来なら有料になりますが、無料とさせていただきます」とのことで0円。
  • ただし子供のDSには、子供が貼ったポケモンのシールがそのまま貼られていた(つまり元のDSからキレイにシールをはがし、再び貼りなおしたとしか思えない)。

とのこと。「全て無料になった」という点もすごいのですが、多くの人々が感動しているのは、もちろん最後の部分。「DSに貼ったポケモンのシール」というものが、子供にとってどれほど重要なものか理解していなければ、この対応を行うことはできませんよね。

個人のブログだし、どこまで本当なのかと突き詰めることもできるのですが……記事に対するコメントや「はてなブックマーク」でのコメントなどでは、「同様の体験をした」「任天堂のサービスに満足している」といった声が寄せられています。任天堂がアフターサービスに相当な労力を費やしているのは事実なのでしょう。

この話、他社のサービス担当が読んで「そうか、期待を上回るサービスを提供すれば、ネット上で話題になるのだな。さっそく予算を倍増してもらおう」と考えたらどうなるでしょうか。恐らく「修理にかかる費用が全て無料」というレベルまでは(体力のある企業なら)すぐに実現できるでしょう。しかし「シールが貼ってあったら、はがして貼りなおす」などということをルール化することはできません。むしろ「シールに関するルール」などという形で現場に押し付けたら、ルールでフォローされていないこと(シールじゃなくてストラップが付いていたら?)を考えなくなる危険もあります。

今後ゲーム業界が発展を続けるためには、これまでゲームに親しんでこなかった人々を引き込む必要があると言われます。任天堂は「NINTENDO DS」と「Wii」でそれに成功しているわけですが、こうした「真似できない」レベルのアフターサービスがあることも、初心者にとって魅力的なはず。そう考えると、任天堂の優位はもう少し続く可能性が高いかもしれませんね。

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