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「献立検索キーワード」が食品売り場を変える?

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オルタナブログの読者層には、主婦の方々は少ない……と勝手に想像しているのですが、「国内最大の料理サイト」という触れ込みの「クックパッド」をご存知の方は多いかもしれませんね。実際、ITmedia News でもこんな記事がありました:

レシピサイト「クックパッド」が食品売り場を変えている (ITmedia News)

クックパッドのサイトは、クックパッド(東京都港区)が1998年10月に運営開始し、月間280万人が利用する日本最大の料理サイトで、ユーザーの投稿 から生まれたレシピは27万品を超え、世界最大級が売りだ。6月時点にサイト内で調査した結果、利用者は女性が96%で、うち20~30代が80%を超え る。しかも、「クックパッドのレシピを参考に食材を購入したことがある」との答えが91%に達するとあれば、大手スーパーもその存在を無視できない。

とのことで、イトーヨーカ堂が投稿されたレシピを商品化したり、ユニーが人気レシピをもとに関連食材を売り込むなどの取り組みが紹介されています。

そして今日の日経新聞に、クックパッドの影響力をさらに増加するであろう取り組みが報じられていました:

献立サイト「クックパッド」、消費者の検索情報販売 (NIKKEI NET)

クックパッドの検索機能に入力された、検索キーワードの販売が始まる(ちなみに利用料金は月額180万円)というニュース。前掲の ITmedia の記事によれば、「レシピを検索するだけの一般ユーザー」が約270万人も存在しています。さらに彼らが入力するキーワードは、閲覧されたページ以上に「今日は何を食べたいか、何を作りたいか」という意識を反映しているはずですから、企業にとって大きな価値を持つことになるでしょう。また検索結果からは地域別の動向も調べることが可能で、実際に

近畿地方のサイト閲覧者は「カレー」と「牛すじ肉」、北海道では「鍋」と「たら」と組み合わせて検索する傾向が目立つという。

とのこと。こんなキーワード傾向を元に、食品売り場のレイアウトや品揃えが変えられることが普通になる、のかもしれません。

先日『ナレッジ!?情報共有・・・永遠の課題への挑戦』の吉川さんから著書の『サーチアーキテクチャ 「さがす」の情報科学』をいただいたのですが、その中でも検索キーワードのモニタリングをすることについて、こう指摘されています:

インターネットにおいて以前から使われていたモニタリング手法として、検索エンジンに入力されるキーワードの頻度を解析するというものがある。検索エンジン利用の一般化に伴い、検索エンジンに入力されるキーワードは一般大衆の興味を反映したものに近いものだと考えられるようになってきている。

今回のクックパッドの事例では、一般の検索エンジンよりも利用者の属性が定され、さらに入力されるキーワードが限定(料理に関係したもの)されたキーワードになっています。従ってより「興味を反映したもの」になっていると言えるでしょう。今後も検索エンジンの進化と普及は進むでしょうから、「検索キーワードを売る」「買ってマーケティングに活用する」、あるいは「キーワードを拾うために検索サイトを立ち上げる」といった行動がますます盛んに行われていくのかもしれませんね。

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