「URLなし」でも気になりませんか?
日経ビジネスの最新号(2007年9月10日号)に、「台頭する『メディアバレー』」という記事が掲載されています。Google、YouTube、Facebook など、新しい「メディア」がシリコンバレー周辺に誕生していることで、メディア産業の中心が東海岸から西海岸に移動しつつある ― という内容。それだけで想像できてしまう通り、ITmedia 読者の方々には取り立てて新しい話ではありません。
じゃなぜここで取り上げたの?というと、ふと「あるもの」がないことに気づいたためです。記事では西海岸の「ニューメディア」の代表として、Digg、Topix、del.icio.us の3つのサービスを取り上げているのですが……なぜかURLが記載されていません。そんなの検索すればいいじゃん、と思われるかもしれませんが、実はそれぞれのサービスは全てカタカナで表記されています。「ディグ」だけはかろうじて、検索結果の上位に紹介記事(中に「digg」という表記とwww.digg.comへのリンクが登場)が出てきますが、「トピックス」「デリシャス」ではほぼ検索不可能。特に del.icio.us の綴り(どこにピリオドが入るか)を想像するのは、絶対に無理でしょう。
まぁ del.icio.us は「delicious」で検索してもヒットするし、Digg と Topix は記事内に小さなスクリーンショットが掲載されているので、それを見て英語で検索することもできるでしょう。正確に言うと、Digg については記事内で「digg」ボタンと「bury」ボタンの仕組みが解説されているので、そこから「Digg」というサービス名を想像することも可能です。なのでいずれにしても、実際のサイトにアクセスするのが不可能というわけではありませんが、なぜ最初からURLを記載しておかないのでしょうか?こんな不親切な記事に、読者が怒り出すことはないのでしょうか?
ここからは穿った見方になってしまいますが……私たちは意外に、自分に関係のない業界の情報は「ふーん、そうなのか」程度で流してしまうのではないでしょうか。この「台頭する『メディアバレー』」という記事は、最近のWEBの世界に詳しくない方々に向けた概説です。URLが載っていなくても、恐らく読者は「最近はこうなっているのか、よしよし分かったぞ」で済ませてしまい、実際にアクセスしてみようとは思わない ― 従ってURLが載っていなくても誰も文句を言わない、という面があるのかなと思います。そんなのひねくれ過ぎだよ、と思われてしまうかもしれませんが、仮にこの記事が林業の新しいトレンドを紹介する内容だったり、ガス田開発に関する内容だったりしたらどうでしょうか。その中で「より詳しいデータが掲載されているサイトがある」と書かれていたとしても、実際にそのサイトにアクセスしてみようという人は少ないはずです(もちろん林業やガス田に関心のある方は別ですが)。
ちょっと思い返してみると、自分自身にも「ふーん、そうなの」で流してしまうことは多かったように思います。それこそURLが載っていなくても、まったく気にならなかったことが何度もあったのではないでしょうか。URLの話に限らず、興味を引かれたことには、できるだけ実際に自分で体験してみるようにする……常にそんな姿勢であることを心がけたいと思います。