WEB2.0をアナログで
WEB2.0は文字通り、ウェブの世界の変化を示すキーワードですが、背後にある思想はITだけに関係するものではありません。特に「多くの人々の参加を可能にする」という点は、アナログの仕組みでも実現可能なものでしょう。例えば最近、こんな面白いニュースがありました:
■ 【イベント】東大の仮囲いに、研究キーワードをちりばめた「かんがえる森」出現 (ケンプラッツ)
東京大学の本郷キャンパスで現在、新校舎「情報学環・福武ホール」が建設中だそうです。この工事現場を囲う仮囲いに森の絵が描かれていて、そこには同大学院情報学環・学際情報学府の関係者から募集した約800の研究キーワーがちりばめられているのだとか。さらに学生や来校者には動物や花をかたどったシールが配られていて、関心のあるキーワードの近くに自由に貼ることができ、関心の高いキーワードが自然と可視化されていく……という仕掛け。名づけて「かんがえる森(Thinking Forest)」です。
来訪者の投票によって人気のテーマが浮かび上がるというのは、まさしくWEB2.0的な発想ですよね。実際、そのままネット上にすんなり置き換えることができそうです。デジタルな数値化は難しそうですが(シールを1枚1枚数えれば良いのでしょうけれど)、これでも十分に「どのキーワードがどの程度人気か」を把握することは可能でしょう。「アナログ版WEB2.0」は、他の形でも意外と簡単に実現できるのかもしれません。
最近「エンタープライズ2.0」や「オフィス2.0」等のキーワードでWEB2.0技術を企業に持ち込む試みが進められていますが、こんなアナログな仕組みでも実験ができるのではないでしょうか。実際、WEB2.0型の仕組みが成功するかどうかという点においては、技術の問題よりも人間の問題(人々をいかに巻き込むか)の方が重要でしょう。完璧なツールを作り上げれば、それで人々のコラボレーションが進むというものではありません。逆に社会的・文化的な下地さえあれば、アナログツールでも一定のコラボレーションを実現することが可能なはずです。そんな下地の有無を確認したり、醸成する目的で「アナログ版WEB2.0」を導入してみても面白いのではないかと思います。