"Prom Queen"観てますか?
アメリカのテレビドラマってハマりますよね。最近ではお馴染み『24』が日本でも大ヒットしましたが、『LOST』『プリズン・ブレイク』など、次々と人気作品が生まれています。そんな中、次の大ヒット作品は、いよいよネット上から誕生するかもしれません:
■ Small-Screen 'Prom Queen' Clicks With Online Audience (washingtonpost.com)
今年4月から公開が始まっていた、TVドラマならぬインターネットドラマ(という呼び名が正しいかどうか分かりませんが)"Prom Queen"が人気を博しているというニュース。1つのエピソードが約90秒間(前後に広告+オープニング&エンディングタイトルが入るので、トータルの時間はもう少し長い)という短さで、全80話から構成されています。以前 ITmedia でも紹介されていたので、ご存知の方もいらっしゃるでしょう:
■ Disneyの元CEO、オンラインビデオ制作スタジオを設立 (ITmedia News)
■ ドラマ「Prom Queen」、どこよりも早くMySpaceで放映 (ITmedia News)
僕もこのニュースは読んだ記憶があるのですが、すっかり忘れていて、ワシントンポストの記事で改めて公式サイトにアクセスしてみました。なんと現時点で第79話まで来ているではないですか!遅ればせながら最初の1週間分(第7話まで)を観てみたのですが、テンポが良くつい先へ、先へとクリックしてしまいます。さらに学園モノ+サスペンスということで、アメリカの若者が熱狂しているというのも納得。
しかし1話がたった90秒間で大丈夫なのか?という疑問が湧くかもしれませんが、観てみると短さは意外に気になりません。それよりも凝縮されている分、グイグイ引き込まれていく感じ(学園モノということで、描かれてない部分も「こうだろうな」というお決まりルールを脳内補完できるのも強みかも)。90秒という長さにしたことについて、共同制作者の Chris Hampel 氏(マイケル・マン監督の下で、映画『コラテラル』『マイアミ・バイス』製作にも関わった人物とのこと)は「オンラインコンテンツを見ていると、90秒以上興味が持続しないから」と説明していますが、確かに仰る通りかもしれませんね。またモバイル端末からのアクセスにも配慮して、移動中に観やすい・ダウンロードしやすい長さにしたという面もあるのでしょう。
いずれにせよ、こういった短時間のエピソードがネット上で公開されることで、「自分の好きな時間に・好きな場所/端末から・ほんの一瞬拘束されて観る」という視聴スタイルが可能になります。忙しいうえに、ドラマ以外に面白いものが山ほどある現代人にとっては、このスタイルはかつてのような「毎週決められた時間に・テレビの前で・30分~1時間拘束されて観る」というものよりずっと便利でしょう。「コンテンツの人気を決めるのは『どう観れるか』ではなく、コンテンツ自身の面白さだ」と言われてしまうかもしれませんが、子供の面倒をみなくてはならない・病気で入院してしまったなどの理由で、見たい映画・テレビドラマ・コンサートなどを逃してしまったという経験はありませんか?映画館で上映されるよりもレンタルビデオになった方が人気が出た、という作品がよくあることも、「どう観れるか」の重要性を示していると言えるでしょう。
また『メメント』のように逆時系列で話が進む作品なら、各エピソードを時系列に沿って見直してみる、もしくは『24』のように複数テーマが並立する作品なら、各テーマを独立して見てみる、などの楽しみ方も可能になるはずです。さらに気に入ったエピソードはブログ等に貼って、皆とディスカッションして楽しむ -- などのスタイルも考えられます。そもそもコンテンツの姿は、その時代時代に主流のメディアとライフスタイルのカタチに合わせていくもの。"Prom Queen"型のコンテンツは、今後ますます人気を集めるのではないでしょうか。
< 2007年10月9日 追記 >
Prom Queen 日本語版がついに放映される、とのこと。字幕ではなく、吹き替え版となるそうです:
■ 短編連続ドラマ「Prom Queen」、日本でも放映 (ITmedia News)