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CO2削減 -- 「国民運動」ではなく「ネット運動」にしては?

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地球温暖化問題が関心を集めています。いわゆる「京都議定書」により、日本は6%のCO2削減を達成しなければならないわけですが、これといった特効薬がない状態。そこで政府は、広く国民からアイデア募集を始めるそうです:

CO2削減へアイデア募集=温暖化防止の国民運動で-政府 (時事ドットコム)

CO2の排出削減につながるアイデアを、ホームページなどを通じて受け付けるとのこと。優秀なアイデアには表彰が行われ、広く普及させる予定だそうです。
(※余談ですが、肝心の「アイデアを受け付けるサイト」を見つけるのに一苦労でした。結局チーム・マイナス6%のページにバナーがあるのを発見したのですが、もうちょっと見つけやすいように工夫しないと!)

「国民運動」というと古臭い感じですが、「みんなの意見」を結集させて知恵を生む="Wisdom of Crowds"だと考えれば、WEB2.0 な時代にマッチした動きもしれませんね。そのためにはもっとクチコミを生むような仕掛け(ブログパーツ作るとか、投稿ページはポップアップじゃなくて普通のページにする=URLを取りやすくするとか etc.)が必要だと思いますが、オープンソース手法で政策を生み出す試みとして注目に値すると思います。

しかし応募を日本国民だけに期待していては、出てくるアイデアには限りがあります。そこで提案したいのは、CO2削減アイデアを日本国内からだけでなく、広く世界から募集すること。英語・フランス語・スペイン語・中国語……などなど、可能な限り多くの言語で解説ページを作成し、ネットを通じて世界中から応募できるようにしてしまうのです。言うなれば、「国民運動」ではなく「ネット運動」。もちろん優秀アイデアとして選ばれるのは日本人が投稿したものに限定するのではなく、どの国の人であっても受賞できるようにします。そうすれば、より優れたアイデアが集まる可能性が高まるに違いありません。

そんなことしたら、日本政府が能無しだとアピールするようなもの……という批判があるかもしれません。確かに世界中から笑われてしまうかもしれませんが、いいじゃないですか。それでCO2削減の画期的なアイデアが見つかるとしたら、安いものです。しかも画期的な解決策を手にできれば、排出権取引で得をしたり、削減ノウハウを海外に輸出できるかもしれません。せめて各国語に翻訳したページを用意する(日本国内に居住している外国人の方々にも参加してもらう)だけでもすぐに行った方が良いと思うのですが、いかがでしょうか?

ちなみにオープンソース手法で政策を生み出す試みとして、有名なものに世界銀行の"Development Marketplace"があります。これは"innovative, small-scale development projects"(小規模な革新的開発プロジェクト)のアイデアを世界から募集し、審査の上で優秀作を選定・資金を与えるというもの。『マーベリック・カンパニー』中の解説によれば、2005年には136カ国から2,600以上の提案が寄せられ、画期的なアイデアが多数生まれたそうです。さすがにここまでの規模にはならないと思いますが、世界中の優秀な人材に参加を促すことは、決して損にはならないのではないでしょうか。

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