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オフィスにも「掃除の時間」を

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3日前から高熱を出してしまい、ベッドで寝たきりという生活が続いていました。ひどい時はPCを操作することもできないほどで、ここ数日はほとんどネットを見ていなかったのですが、新聞や雑誌を買ってきてもらい読んでいました。

新装刊された『COURRiER Japon』も、買ってもらった雑誌の1つ。世界各国のニュースが満載で、寝たきり生活にはうってつけの一冊だったのですが、その中に「世界に誇る日本の文化?『掃除』で磨く協調性」という記事がありました。簡単にまとめると、以下のような内容になります:

  • 日本の学校では、掃除を行う用務員を雇っていない場合がほとんど。
  • これは「清掃」と「道徳」を結びつけて考える仏教の伝統に基づいていて、掃除のような単純労働は階級の低い者に任せておけばよいとみなす西洋社会の考え方とは対照的。
  • ある教育委員会は、「教育では協調性を学ばせるのも重要で、掃除はその一環」と述べている。
  • 昼食時には、生徒たちが食事の給仕まで行う。

というもの。真ん中の「掃除は仏教の伝統に基づくもの」という部分が妥当かどうかは別にして、義務教育の学校に「掃除の時間」「給食の時間」があるのは私たちからすれば当然のことですよね。僕も数年前まではそんなの当たり前と思っていたのですが、実は留学した際にこんな経験をしていました:

  • 比較文化の授業で、米国・ドイツ・日本の教育を比較するというビデオを観ることに。
  • そのビデオの中では、日本の学校のユニークな点として「掃除」「給食」を皆で行う光景が紹介されていた。
  • 生徒が一斉に掃除をしたり、給食を取り分ける姿を見て、日本人以外の学生は爆笑。ビデオを観終わった後、「この光景は事実なのか?」「特殊な事例ではないのか?」など「信じられない」的な感想が挙げられた。

クーリエの記事を読んで、ふと思い出したのがこの出来事。それまで当然だと思っていた「掃除の時間」「給食の時間」が、実はユニークな教育法なのだということに気付かされました。日本人は協調性がある、チームワークが良いというのは意外とこんなところにも理由があるのかもしれません。

しかし義務教育を離れてしまえば、掃除や食事(給仕)を共同で行うということはほとんどなくなります。「協調性なんて身に付いているから、大人になってまでそんなことする必要ないよ」と言われてしまうかもしれませんが、意外とオフィスでも「掃除の時間」「給食の時間」を設けたら効果が見られるのではないでしょうか。特にインフォーマルなかたちでの情報共有や、社員間のコミュニケーションをどう促進するかが課題となっている現在、こんな集団活動が重要な意味を持つかもしれません。

とはいえ、いきなり「12時になったら給食当番は白衣を着て集合!」「5時になったら机を後ろに下げて!」みないな命令を下すわけにもいかないでしょう。そこで、例えば個人情報・機密情報の管理徹底と絡めて、週に一度は皆でデスク周りを整理しよう -- などという呼びかけから始めてみても良いのではないでしょうか。

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