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カメラとパッケージツアー

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またまた散歩していた時の話ですが、先日こんなお店を発見しました。左にある写真ですが、これを見て何のお店だと思いますか?「写真撮影」とあるからカメラ屋さんのようにも見えますが、掲げられているのはパッケージツアーの宣伝。ということは旅行代理店?

実はこのお店、カメラ専門店が正解。吉祥寺駅前にある、小さなお店です。脇を通りかかったときに、このショーウィンドウ(?)を見かけて、面白くて撮ってみました。下の方に貼られているのは、過去のツアーに参加された方々の写真のようです。ここでツアーを申し込んで、ここで現像して、さらに撮った写真を掲載している……というわけですね。

そう考えてみると、カメラ屋で旅行案内するというのも納得です。わざわざ専門店で買うということは、手にしたカメラの性能を試してみたい・最大限に活かしてみたいと考えている人々でしょうから、「撮影旅行がオススメですよ」と言われればグラッとくるはず。せっかくだから現像もあのお店で、ということになり、そこで次の旅行のお知らせを受けたり、他の参加者の写真を見て楽しむ(自分の写真も掲載してもらう!)・他のお客さんと交流する、なんてことになるかもしれません。カメラを売って終わり、フィルムを現像して終わりではなく、カメラを通じた楽しみというものをバックアップしているわけです。

昨日のエントリで『コンテナ物語』という本をご紹介しました。この本によれば、コンテナによる革新的な物流体制が生まれたのは、マルコム・マクリーンという陸運業者が「海運業とは貨物を運ぶ産業だ(貨物船を運航するだけの仕事ではない)」と捉えたことがきっかけでした。一方、規模は大きく異なるものの「旅行代理店もするカメラ屋」も同じ話ではないでしょうか。マクリーンと同様に、と言うと大げさに聞こえますが、このお店も「カメラ屋はカメラを売るお店だ」という枠には留まらず、「カメラを使って楽しむ」という本質的な部分を提供しています。そのために何をするかというアイデアの1つが撮影旅行の企画なわけで、他にもカメラ教室の実施など様々な活動が考えられるでしょう。

「陸運業者が新しい海上物流システムを創る」「カメラ屋がパッケージツアーを売る」というのは、単純な多角化とは異なります。自分達が提供する価値の本質は何か、を見極めた上で行った、当然の結果と言えるかもしれません。こんな街のカメラ屋さんでも、と言うと失礼ですが、どんな場面でも工夫ができることを見習わなければならないなぁと感じた次第です。

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