「子供向け」か「子供が楽しい」か
うちには2歳の娘がいます。最近は生意気な口をきき、好き嫌いもはっきり言うようになりました。そんな彼女の最近のお気に入りは、動物の絵が描かれたパンケーキ。といっても市販のものではなく、家で焼いたパンケーキに、うちの奥さんがチョコペン(溶けたチョコレートをインクのように出せるもの)で絵を描いてあげたもの。これが意外にウケて、よく食べています。
そんな姿を見ているので、今日の日経MJで紹介されていたこんな発想に、思わずうなずいてしまいました:
■ NYに子供向け高級デリ 健康・適量・楽しさ、人気 (日経流通新聞 2007年2月16日 第11面)
マンハッタンのアッパーイーストに登場した、子供向け高級デリカッセン「キッドフレッシュ(KidFlesh)」について。今年1月にスタートしたばかりですが、週末には親子連れの買物客で授業参観日のような賑わいなのだとか。その秘密は、徹底的に子供に配慮しているところにありました:
- 「健康」…小児栄養士が献立を作成、商品には有機野菜や自然食品を使用。
- 「適量」…1-2歳児/3-5歳児/6-10歳児の3つの年齢層それぞれに合った分量がパックに。
- 「グルメ」…「イチゴとクリームチーズソースがけのフレンチ・トースト」など、高級惣菜店も顔負けのメニューを用意。
- 「楽しさ」…サンドイッチのパンが星や雪だるまの形に。また特注の小型ショッピングカートで子供が自分で商品を選べる。
それぞれ大切な要素ですが、特に4番目のポイント、「楽しさ」という部分に感心させられました。そう、冒頭で紹介したように、子供って見かけの楽しさも重要なんですよね。また「子供が自分でショッピングカートを押せる」というアイデアも賛成です。うちでもまだ2歳のくせに、自分でカートを押して商品を選び、最後にはレジでお会計までしたいぐらいですから。こういった「子供が楽しい」という要素を盛り込むのって、簡単なように思えて実は忘れてしまいがちだと思います。
他人のためにサービスを用意する場合、客観的に判断できる要素を出すのはさほど難しいことではありません。例えば子供向け食品では、「健康」や「適量」という発想は従来の商品/サービスにも盛り込まれていますよね。しかし主観的な要素については、まったく思いつかなかったり、配慮しているように見えて実は全くの的外れだった……ということが起こりがちではないでしょうか。KidFresh はオープンまでに2年を費やしたそうですが、サービスを提供する相手に本当に気に入ってもらうためには、それくらいの労力は必要なのだろうなと感じました。