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決して最先端ではない、けれど日常生活で人びとの役に立っているIT技術を探していきます。

友達としてのウェブ

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僕が初めてインターネットに触れたのは、1995年、大学院生の時でした。その頃はこれといったWEBサイトもなく、アクセスするのはアメリカの政府機関系サイトばかり(論文作成の資料収集に使っていたので)。当時の僕にとって、「WEB=政府」でした。

その後あっという間に技術が発達し、企業ホームページが当たり前の時代となりました。ネットで買い物をする、なんていうのも普通のことに。政府としてのウェブから、「企業としてのウェブ」「お店としてのウェブ」に変わったわけです。しかしいま、新たな変化が生じているのではないかと感じます -- それが「友達としてのウェブ」です。

いわゆる WEB2.0 の時代になり、ネットでアクセスするコンテンツには大きな変化が生じました。あくまでも個人的体験ですが、ブログやSNSといった形で、身近な人々が書いた文章を読むことが非常に多くなっています(95年には外国の役人が作った資料ばかりだったのに!)。また(知人が書いたもの以外の)お気に入りのブログを読む、「はてなブックマーク」で話題になっているネタをチェックするなどというのは、「自分に近い人々が集めたコンテンツ」を楽しむ行為だと言えます。その意味で、現在は日々アクセスするコンテンツのほとんどが「自分に近い人々」が提供してくれるもの、と言えるのではないでしょうか。

またWEBアプリケーションも、まるで友人のような動きをしてくれるものが増えています。趣味にあった本を選んでくれたり、あいまいな言葉でも何かを検索してくれたり、夕飯のメニューを決めてくれたり……以前では考えられなかったほど、相手側で自主的な判断を行って、私たちに対して積極的に意見を言ってきますよね。さらにそれは「企業が何かを押し売りしてくる」というよりも、「友人としてアドバイスしてくれる」という感覚に近いものになっています。

「友人(自分に近い人)がコンテンツを提供してくれる」「アプリケーションが友人の立場で行動してくれる」という2つの点が、「友達としてのウェブ」が生まれつつあるのではないかと感じている理由です。もちろん人によってネットの使い方には差がありますから、誰もが「ウェブ=友人」と捉えているわけではないでしょう。しかしこれからは、こうした「ウェブを身近な人のように感じる」という体験をする人々が増えていくのではないでしょうか。

「企業としてのウェブ」の時代が到来したとき、ホームページを持っていない企業が非常に遅れているように感じられるようになりました。そのほんの数年前までは、ホームページのある企業の方が珍しかったのに。同じように「友達としてのウェブ」の時代が来たとしたら、友人のようにふるまってくれない企業は「おかしな会社だな」と思われてしまうのではないでしょうか。消費者に自由な発言の場を与えたり、採算度外視でお客をサポートする(場合によっては他社製品をオススメする、など)といった行動を、多くの企業が求められていくのではないかと思います。

< 追記 >

海外からのスパム攻撃の対象となっているため、トラックバックを閉じさせていただきました。(2007年3月11日)

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