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黒く塗れ

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「黒い綿棒」ってご存知ですか?最近は普通のコンビニでも扱われるようになったので、ご存知の方も多いと思います。普通の綿棒が白(綿が白いのだから当然です)なのに対して、黒い綿棒はその名の通り真っ黒。「単に色がついただけでしょ?」と思いきや、これがすごいんです。色が黒なので、耳垢が目立ち、耳かきをすると「こんなに垢が取れた!」と爽快な気分になります。ただそれだけなのですが、うちではすっかり「黒綿棒」を使うようになりました。

同じ「黒」つながりで、今日の日経MJに「黒いまな板」というものが紹介されていました(日経流通新聞 2007年2月14日 第22面)。ちょうど読売新聞でも紹介記事がありましたので、ご覧下さい:

食材くっきり、黒いまな板…京セラが開発 (YOMIURI ONLINE)

京セラが発表した「日本点字図書館オリジナルクッキングボード」という商品。まな板と言えば白いもの(木製であればもちろん木目調ですが)、と相場が決まっています。しかし視覚障害のある方は、背景が黒い方が良く見える場合があるのだとか。そこでまな板を黒くすることで、食材や調理器具(包丁など)を見えやすくすることを狙ったのだそうです。京セラは「高齢化社会に向けた商品開発のヒントになる」と位置付けているそうで、さらに新しい可能性が見えてくるかもしれません。

綿棒もまな板も、衛生的に見えるという理由から「白」が常識とされていたものです。ところがその常識を取り払ってみると、「モノ(耳垢・食材)が見えやすい」という大きな価値が現れました。単純な発想に思えますが、これまで「黒い」バージョンが登場していなかったことを思うと、いかに「それが常識だ」「昔からそういうものと決まっている」「些細なことを気にするな」という思考のバリアが強力なものであるかを示しているのではないでしょうか。

色を変えてみる・形を変えてみる・大きさを変えてみるなどなど、ほんの些細な変化でも、思考停止状態を突破するきっかけを与えてくれるのかもしれません。

……蛇足ですが、「黒い綿棒」の実物はこんな感じ(1種類だけでなく、各社から様々な種類が発売されています):

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