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モンダの人々

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収賄容疑で前福島県知事が逮捕されたそうですが、この事件をめぐる記事の中でなるほどと思うものがありました。朝日新聞に掲載された、元宮城県知事の浅野史郎慶応大学教授のコメントです:

■ 知事経験者はこう見る (朝日新聞 2006年10月24日 第34面)

「選挙後は味方がこわい」と題したコメントの中で、浅野教授はこう述べています:

選挙が終わった後は敵より味方がこわい。青臭いと思われても、「知事とはこういうもんだ」「選挙には金がかかるもんだ」「政治とはしょせんこんなもんだ」という業界の「モンダの人々」と荒業で対抗しなくてはならない。福島の場合も、「モンダの人たち」に絡め取られてしまったのだろう。

応援に対する見返りという歪んだ「常識」を盾に利権を迫る人々を、「モンダの人々」と呼んで批判されています。彼らに屈してしまう施政者の側にも問題はありますが、旧態依然とした政治を許しているのはこういった思考停止状態の人々なのでしょう。

政治の世界に限らず、会社の中にもこうした「モンダの人々」が存在しているのではないでしょうか。「会社とはこんなもんだ」「プロジェクトはこう進めるもんだ」「消費者なんてそんなもんだ」などなど、前例や過去の経験だけを鵜呑みにして是非を検討せず、新しい方向性をあきらめようとする人々です。彼らの存在は政治腐敗ほど深刻な問題を引き起こさなくとも、イノベーションの発芽や新しい世代の台頭を妨げる原因となり得ます。

「モンダの人々」は身近な存在で、一見すると味方のように見えるために、彼らの意見を跳ね除けることは難しいでしょう。その意味で、「味方がこわい」という浅野教授の指摘は核心を突いていると思います。最も怖い敵は社外にいる競合他社ではなく、社内にいる「モンダの人々」なのだ -- と意識して警戒することが重要なのかもしれませんね。

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