雇用管理の施策~人材確保
内閣府は2016年5月31日付で、「子供・若者白書(旧青少年白書)」の最新版となる2016年版を、公表しました。
白書では、いわゆる「ひきこもり」について取り上げられており、単純に人口推計と合わせて換算した結果、69.6万人が「ひこきこもり」になっていることがあきらかになっていました。
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ただし「ひきこもり」の定義には
- 「普段は家にいるが、近所のコンビニなどには出かける」
- 「自室からは出るが、家からは出ない」「自室からもほとんど出ない」
- 「普段は家にいるが、自分の趣味に関する用事の時だけ外出する(広義ひきこもり対象者)」
などいくつかの段階区分けがあり、注意が必要(*1)ですが、ひきこもり状態に陥るのには何らかの原因があります。
その原因の上位を挙げると以下になります。
- 1位「職場になじめない」23.7%
- 2位「病気」23.7%
- 3位「就活失敗」20.3%
回注目するのは、1位の「職場になじめない」という本人の感覚です。
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「職場になじめない」というのはどういう事なのか、アンケートによると以下のようなものがありました。
- 人間関係が良くなかった
- 仕事が自分に合わない
- ノルマや責任が重すぎた
- 自分の技能・能力が活かせられなかった
- 責任のある仕事を任されたかった、等。
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一昔前、会社に入ったら、配属先がどこになっても文句は言えないのが当たり前でした。上司の言葉は絶対だ、実力が無いなら人の倍頑張れ、多少の環境の悪さは我慢しろ、等。
今では理不尽といわれるような事が、まかり通ってしまう時代でもありましたが、やはり今の時代は違うようです。
職場になじめないといった理由で離職し引きこもる若年層が増えているというのは事実であり、マネジメントをする上司と若手の部下の間には、様々なギャップが存在している事を認識しなければなりません。
「職場になじめない」といった理由で離職し、引きこもる若年層が増えているという事実を受入れ、マネジメントをする上司と部下(若者)の間には、様々なギャップが存在している事を認識しなければなりません。
"引きこもりになる原因は、本人にある"と企業側が考えているうちは、いつまでたってもしそのギャップの解消は望めないのだと思われます。
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厚生労働省職業安定局が平成26年5月に発表した「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査」報告では、各種雇用管理制度等が「実施されている」企業と「実施されていない」企業とでは、明らかに「実施されている」企業の業績が「上がっている」という事が分かっています。
調査報告によると、働きやすい職場づくりとして最も重要であると挙げられたものは、以下になります。
- 希望に応じたスキルや知識を学べる研修
- 計画的なOJT受講とその成果のチェック
- 職歴・階層別の研修、評価結果とその理由の本人へのフィードバック・説明など
この様な職場づくりの施策は、離職の軽減につながるだけではなく、若年層の人材確保にも繋がり、業績向上を促すことにもつながっているようです。
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会社として職場づくりに取り組むことは、重要な課題の一つであることは間違いありません。
組織が疲弊するマネジメントではなく、活性化するマネジメントへの転換が求められています。
人材コンサルティング事業部
本庄雅子
*1(心身的な病気によるもの、自宅就労者、家事手伝いなどをしている者は今回の「ひきこもり」には該当しない。
例えば花嫁修業中の人、SOHOスタイルで働いている人は対象外となるので注意が必要。)