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OKが出るプレゼンには必ずわかりやすいグラフとメッセージがある

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今回は、一発OKを貰うためのプレゼン資料の作り方を共有します。

この領域で最近有名なのはソフトバンクではないでしょうか。関連本もいくつか出版されています。


こうした本を読んで身に付けるのも良いですが、まず「結局、わかりやすい資料って一言にまとめると?」と思っているアナタに、その本質と具体例を紹介します。

ずばり、「わかりやすい資料って覚えやすい」んです。


「なぜグラフが必要なのか」に答えられますか?

なぜグラフを用いたプレゼン資料を作るのでしょうか?

わかりやすいから。

伝わりやすいから。

でも、それって「言葉」でよくないですか?グラフでなきゃダメな理由にはなりえません。


当研究所では、「記憶に残るから」だと考えています。

一般的に言葉より絵のほうが後で思い出しやすいと言われているからです(1980小島※1)。「記憶は写真だ」とよく言われますが、言葉よりも絵のほうが鮮明に覚えられるものなのです。


そもそも、意思決定を下す(あるいは考える)という作業は、過去の経験(実体験以外含む)から現実(課題)を照らし合わせて何かを思い浮かべることだと言われています。

この「照らし合わせる」というのが「思い出す」と同義であり、短期記憶にしろ長期記憶にしろ「記憶に残っていること」は大事なんです。

つまり、たった15分スライド3枚の資料であっても、わかりにくければ覚えられないし、理解するのに時間がかかるから1発OKが出ないのです。


数字だらけの報告で意思決定させるのは部下の拷問だし、わかりづらいグラフの報告で意思決定させるのは部下の虐待です。

覚えやすい数個のグラフとメッセージが添えられた資料こそが、適切なプレゼン資料だと言えます。


実演!わかりやすいグラフの作り方

では、さっそく実演してみましょう。

以下の表データを見てください。A社とB社は競合で、売上規模がほぼ同じだとします。あなたなら、どんなグラフを作成しますか?


事業株式会社A株式会社B
SEO20%30%
広告30%10%
メディア20%50%
アプリ30%10%

あなたが何を訴えたいかでグラフの種類は変わりそうですし、A社の人間なのかB社の人間なのか第三者なのかでグラフの見せ方は変わるでしょう。

世の中に客観的なグラフなど存在しないと思っています。全ては、数字を用いて言いたいことを端的に表したグラフがあるのみです。


ちなみに、私は4パターンほど考えてみました。


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積み上げ100%棒グラフで、A社とB社の売上規模は同じでも売上構成が違うことを表しています。


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次に、同じ積み上げ100%棒グラフでも、SEO事業の売上構成比が似ていることを表現したグラフが考えられます。


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さらに、横棒グラフで、事業ドメイン単位で見て売上が大きく違うことを表しています。

これでA社が満遍なく、B社がメディア事業に集中していることがわかります。


004.jpg

最後に、見せ方を工夫してB社のメディア事業の横棒グラフだけ色を塗ってみます。

さらに30%に赤線を引くことで、B社のメディア事業が突出していることを表現してみました。


何を言うかで、どのグラフを選択するかも変わっていきます。

今後、様々なグラフを紹介していきたいと思います。


*わかりやすいグラフに添えるメッセージは一言で済ませる*

最後にグラフだけではプレゼン資料にならないので、メッセージを添えましょう。

ちなみにタイトルは不要です。紹介した4つの何も「売上構成比」なのですが、それは見たらわかります。大事なのは、「だから何?」です。

ただし、(多くの人がここで失敗するのですが)1グラフ1メッセージです。3つも4つもあると、結局覚えられなくなります。


先ほどの積み上げ棒グラフの場合、このようなメッセージを添えました。


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そうだよね、って感じですね。


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あなたがSEO事業の責任者であれば、このように表現することでSEO事業部同士の対決が、社を挙げた対決にチェンジするのではないでしょうか。


また、先ほどの横グラフについても、このようなメッセージを添えました。


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さらに、B社のメディア事業をどう言うかについて、2つのメッセージが考えられます。


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B社に対して第2を軸を作ろうと言うか、A社の安定性を訴えるか、その何であってもグラフは一緒でもOKです。

これがグラフの魅力であり、魔力とも言えます。


まとめ

覚えやすいグラフを作るためには、見てすぐわかるグラフと、そのグラフで言いたいメッセージ、この2つで構成することが伝わったかと思います。

大事なのは「詰め込みすぎない」こと。ちょっと隙間があるくらいが、ちょうど良いと思います。

※1:http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/29224/1/36_P227-237.pdf

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