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芥川賞に税金がかかる!?(人気税理士原尚美先生のコラム)

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私が鈴与シンワートで編集支援している人気税理士の原尚美先生のコラムを全文紹介する機会を頂きましたので、ここでご紹介します。

興味がある方はお読みください。

【芥川賞に税金がかかる!?】

有名な芸人さんが、芥川賞を受賞!?ということで、話題になりました。何年か前には、人気歌手が小説を書いて、やはり権威のある文学賞を受賞しています。芸能人としても成功しながら、作家としても一流の省をとるなんて、なかなか凡人にはできることではありません。

けれど私の周りにも、「自称」小説家(笑)という税理士や会社経営者は、結構たくさんいます。じつは会社や友人に内緒で応募し、受賞者の発表の前に、ドキドキして仕事も手につかないという人は、読者の中にもいらっしゃるかもしれませんね。

賞を獲ることで、プロの作家としての道もひらけます。さらに、たいていの場合は、受賞という名誉だけでなく、賞金という副賞がついてきます。芥川賞の場合は、賞金が100万円贈られるのだそうです。

税の専門家として気になるのは、この賞金に税金はかかるのかという点です。

え!? 賞金にも税金がかかるの・・と、心外に思う方もいらっしゃるかと思いますが、仕方がありません。納税は日本国民の三大義務の一つ。どんな形の収入にも、納税の義務がついて回るのです。

そんなのひどい・・。

そのとおりです。というわけで所得税法では、非課税となる所得を限定列挙しています。では早速、「芥川賞」の賞金が、非課税所得かどうかを確認してみましょう。非課税所得を知りたければ、所得税第9条を見ればわかります。

http://www.houko.com/00/01/S40/033.HTM

第9条 十三  次に掲げる年金又は金品

イ 文化功労者年金法 (昭和二十六年法律第百二十五号)第三条第一項 (年金)の規定による年金

ロ 日本学士院から恩賜賞又は日本学士院賞として交付される金品

ハ 日本芸術院から恩賜賞又は日本芸術院賞として交付される金品

ニ 学術若しくは芸術に関する顕著な貢献を表彰するものとして又は顕著な価値がある学術に関する研究を奨励するものとして国、地方公共団体又は財務大臣の指定する団体若しくは基金から交付される金品(給与その他対価の性質を有するものを除く。)で財務大臣の指定するもの

ホ ノーベル基金からノーベル賞として交付される金品

ヘ 外国、国際機関、国際団体又は財務大臣の指定する外国の団体若しくは基金から交付される金品でイからホまでに掲げる年金又は金品に類するもの(給与その他対価の性質を有するものを除く。)のうち財務大臣の指定するもの

 では皆さんが、万が一(笑)芥川賞を受賞したとしましょう。

芥川賞の賞金は、「ニ」の 「学術若しくは芸術に関する顕著な貢献を表彰するものとして又は顕著な価値がある学術に関する研究を奨励するものとして国、地方公共団体又は財務大臣の指定する団体若しくは基金から交付される金品で財務大臣の指定するもの」に、該当しそうです。

ここで問題となるのは、芥川賞の主催者です。芥川賞は、「公益財団法人 日本文学振興会」という団体です。文芸の向上顕揚を図り、もって文化の発展に寄与するために文学賞の授与を中心とした活動を行っている財団だそうです。この「公益財団法人 日本文学振興会」が、第9条の13項ニに記載されている「国、地方公共団体又は財務大臣の指定する団体若しくは基金」に該当すれば、非課税ということになります。

結論からいうと、残念ながら「日本文学振興会」は、非課税団体として指定されていません。なので残念ながら、皆さんが受け取る芥川賞の賞金には、所得税が課税されることになります。

ちなみに、同じ文学・文化賞でも、(財)朝日新聞文化財団から交付される朝日賞や、(株)毎日新聞社から交付される毎日出版文化賞、(株)読売新聞社から交付される読売文学賞は、国から指定を受けているので、賞金に税金がかかることはありません。また、第9条の13項ホにあるように、ノーベル賞の賞金にも所得税は課税されません。所得税の世界は、ロジカルな法則がないところが難しい~ですね 汗

 ところで税金といえば、消費税も忘れてはいけません。所得税が課税されるということは、消費税の課税対象にもなってしまうのでしょうか。

そこでます、消費税とはどういう税金かを、おさらいしておきましょう。消費税とは、「事業者」が、「事業として対価を得て行う役務の提供」に対して課税される税金です。

つまり、① 読者の皆さんが「事業者」であるか否か。そして、② 皆さんが、「事業の対価として」芥川章の賞金を獲得したのかどうか、がポイントになってくるというわけです。

 ここで、消費税の基本通達5-5-8を、確認してみましょう。 https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shohi/05/05.htm

5-5-8 他の者から賞金又は賞品(以下5-5-8において「賞金等」という。)の給付を受けた場合において、その賞金等が資産の譲渡等の対価に該当するかどうかは、当該賞金等の給付と当該賞金等の対象となる役務の提供との間の関連性の程度により個々に判定するのであるが、例えば、次のいずれの要件をも満たす場合の賞金等は、資産の譲渡等の対価に該当する。

(1) 受賞者が、その受賞に係る役務の提供を業とする者であること。

(2) 賞金等の給付が予定されている催物等に参加し、その結果として賞金等の給付を受けるものであること。

 少し難しいですが、要するに、皆さんが芥川賞を獲得するために、小説を書いたのであれば、その結果として、獲得した賞金は課税売上となるというわけです。

 ところで芥川賞とは、主催者である日本文学振興会が、すでに出版されているたくさんの文芸作品の中から、勝手に(笑)優秀だと思われる作品を選んで、表彰するものです。芥川賞に選ばれるために、小説を書くというより、たまたまその作品が優秀だったため、結果的に受賞し、賞金が贈られたにすぎない、というのが一般的です。

 結論としては、もし皆さんがこっそり書いた小説が芥川賞を受賞したら、そこで獲得した賞金を一時所得として、所得税の確定申告をしなければなりませんが、消費税までは納める必要はなさそうです。

 3月、確定申告のシーズンがやってきます。家族や友人に内緒でこっそり小説を書いている人、小さいけれど新人賞を獲ったよ!という人は、国税庁のホームページに事前紹介事例が載っています。参考にしてくださいませ。

https://www.nta.go.jp/tokyo/shiraberu/bunshokaito/shohi/110217/02.htm

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