システム開発を断られる理由
コンサルタントって気軽に「できません」って言っちゃだめなんですね。
トラパパ@TORAPAPA > ビジネストークで気軽に言ってはならない(と思われる)ことhttp://blogs.itmedia.co.jp/torapapa/2009/03/post-f6be.html
「知らない」とはちょっと違いますが、「できません」もできるだけ使わないのが重要と思ってます。もし「できるか?」と問われたことならば、なぜできないかが説明できないといけないです。十分説明できなければ「できません」とストレートに答えた瞬間、イコール「戦略企画力の乏しい奴」というレッテルを貼られます。
トラパパさんが仰っていることはシステムエンジニアの仕事場でもだいたい当てはまることで、安直に「できません」ということは技術力がない、知識がない、ということになってしまいます。また、技術的に明らかな理由があって「できません」と言うにしろそれが一般的なIT知識しか持ち合わせていない人にとって理解不能なレベルの説明であれば「できません」と言っていることと変わりありません。煙に巻いてごまかしてるのか?なんて思われてしまいます。
ありがちなケースを一般論でいくつか考えてみました。
金額
構築費用の想定だったり、残った予算だったりを提示され「できますか」と。折り合わなければ「できません」と言うしかないですが、この交渉は奥が深くなりがちです。PCが高性能化したことでエンタープライズ用途の機器と「似たような」性能を持つものも少なくありません。「うちの息子のPCはメモリが2GBだけど20万もしなかったぞ」と。おっしゃることはごもっともですが……。とエンタープライズ用途とPC用途の費用の違いを理解していただくことになります。
対投資効果
作ってもお客様にメリットになるかどうか怪しいときや、マンパワーで乗り切っちゃったほうがよくないですか?というときは「でき……なくはないですけど、お薦めしません」ということになります。例えを出すと、今のオルタナティブブログでタグを共通化しましょう、という話になったとして、移行のために文脈から自動でタグを判断して付け直すシステム(使い捨て)を1000万円で作ろう、という計画が盛り上がったとします。で、その相談を受けたとしたら「誰かを月給100万円で5人くらい雇ったほうがいいんじゃないですか?本当に作ります?」というような感じです。
規模
これは時と場合によりけりですが、どうしても大きな会社は軽微なシステム開発が苦手です。お客様の満足を得られるアウトプットが出すのに、小回りが効かない分だけ無駄な費用がかかってしまうというところがあります。そうするとあまり小さな規模のシステムはお断りせざるを得ないです。
技術
上の対投資効果のところで例にしましたが、日本語を読み取って適切なタグをつけるというのは簡単そうで難しい話です。特に何らかの業務に特化した企業で、専門用語、社内用語がたくさん出てくる文書が対象になったとしたらまだまだ数年は厳しくなってくるでしょう。こういった技術的に本当にどうしようもない話は正直に「できません」というしかないです。ただしなぜそれがしたいのかをよく聞いて、そういう折につけて「利用者がタグつけるのはどうですか?ソーシャル何とかって聞いたことないですか?」とお客様に有益な技術動向をお伝えするところは大切なポイントかと思います。
体制
自分のところの人員が手薄になっていて本当にどうしようも無い場合はお断りさせていただくこともあるかもしれません。が、そこまでぎりぎりの状況というのも少ないように思います。どちらかというとお客様側のほうで誰が発案したかよくわからなくなり、ゴールもわからない、責任者もわからない、というような状況で何となく担当窓口になっている人と打ち合わせの回数だけを重ねていくということもあります。そういった場合は「このままじゃ進められません」ということをお話させていただいて、仕切り直すことが重要になってきます。
期間
実際にはこれが一番多いでしょうか。納期までがあまりに短く設定されていることも問題ありますが、構築規模に対して計画期間があまりにも長く、特に要件定義や基本設計の線がごーっと長く引いてあるような場合もそれなりの問題があります。開発者側としてはその間あまり大きな動きが見られないままにキープされる形になります。運用や他の開発でおつきあいがあればなんてことはないですが、他につながりもなく、開発規模も小さく、期間だけは長いとなると利益を出すことも難しくなってお断りという状況になるかもしれません。
転職でもなんでもそうだと思いますが、不景気だと「できません」が減って好景気だと「できません」が増えるように思います。苦しい時期ですが、こういうときだと普段は高い会社も単価が下がってお買い得かもしれません。