ネットで調べてDIY
昨日の時計の電池交換を初めとして、自分で何かをするということが好きです。昔からそういった趣味があるのですが、数年前にネットでやり方を調べてやってみる、というスタイルを覚えた事でその範囲が広がってきています。最近では例えばユニットバスのエプロンを外して浴槽の下を掃除したり、食洗機の分岐水栓を取り付けたり、梅干を自作したり、ということをしました。
少し前であれば、例えば分岐水栓を購入しようと思ったら電気屋さんで業務用のマニュアルを見せてもらって食洗機側の仕様を確認し、自分の家の水栓の型番を確認し、その両方に適合する水栓を金物屋さんで買うという事が必要でした。ここがスタートラインで、取り付けに関するノウハウは水栓に付属の説明書を見てわからなかったらもう調べようがありません。そうするとその時点で諦めて水道屋さんにお願いするしかありませんでした。それが今ではインターネットのサンリフレさんなどで水栓の型番の検索から購入、そして取り付けのビデオまでを確認する事ができます。
ただし失敗して漏水⇒階下に被害となった場合の補償は並大抵の金額ではありませんので広くお薦めするものではありません。私は以前に2回も漏水の被害者側となったことがあるのですが、空き部屋4部屋+居住部屋2部屋を水浸しにしてしまった張本人は3ナンバーのセダンが買えるほどの被害額を負担したようです。私も数十万円相当の家財道具を失いました。そういったリスクを承知で行うのであれば、分岐水栓の交換などは水道の元栓の位置さえ把握していればスナップキットのガンダム並に簡単に作業が進みます。
それではみんながDIYしているかと言うとそうでもなさそうです。自分でできるということを知らない人が多いというのがありますが、やはり失敗した時のリスクが大きいのと、水道屋さんの本職ならではの技術を必要とする仕事がたくさんある事が大きいと思います。そこで水道屋さん以外の例を考えて見ますと、自転車のパンク修理は失敗したところで自分が泣く泣く自転車を押して帰るだけです。時計の修理も高額な時計でなければ自分でやったほうがお得です。時計用の電池はダイソーで2個100円、ヨドバシで1個80円くらいで買えます。このあたりは、インターネットで画像付き、動画付き、はたまた親切なQA掲示板付きで解説されることによりプロの方の仕事が減ってきているのではないでしょうか。
インターネットで調べて自分でやるという人が増えると、本職でやっている方が大変な思いをしそうです。前々から東急ハンズやホームセンターには無料で持ち帰ることができるDIYの手引きが何種類も置いてありました。それらは私のように元からDIY好きでそういうお店によく出かける人に対して訴求していたものですので、広がりにも限度があったように思います。それが今では「ネットで見かけたから自分でやってみよう」という広がりを見せているように思います。はてブでも「あとで試す」というタグをよく見かけますが、それらは「自分でもできそうだ」というお手軽なDIYの紹介サイトにつながっていることが多いです。また、これまでDIY界には道具や材料が入手しづらかったり高かったりするという障壁もあったのですが、100円ショップや、先ほどのサンリフレさんなどのサイトの出現によってその障害も取り除かれつつあります。
こういった流れが進むと、短期的には技術を持った職人さんが大変な思いをするのでしょうが、長期的に見れば技術に対する見方を変えることにはならないでしょうか。例えば分岐水栓を直すのを失敗して水が洩れてしまったような時、あっさりと直してくれる水道屋さんはやはりすごいと思います。パンク修理も自分の腕では15分ほどかかってしまうのが普通なのですが、自転車屋さんに持ち込むとその半分以下の時間で直してくれます。しかも600円くらいでやってくれるところもあります。ちょっとしたフランチャイズのような形で何らかの技術を提供してくれているお店はDIYに負けてしまうかもしれませんが、素人には到達できない高みにおられる職人さん達はそのすごさを認識してもらえるという事がありそうです。
目線を我々IT業界に移してみますと、サンプルソースをコピペしてプログラムを作るというプロ失格のプログラマさんが増えてきたという指摘があります。確かに既に安全性が確認されているサンプルソースが存在するのであれば、それを流用したほうがバグを新たに作りこむ危険を回避できるでしょう。しかしながらネット上のサンプルソースは誰かが検証したものではありません。こういった事も実際に起こったようです。
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他人からお金をもらってやる仕事では、ちょちょいとネットで調べてやってみるという姿勢はあまり好ましいものではありません。そういうものはあくまでAt Your Own Risk & Do It Yourselfのものとして考えたほうが良さそうです。