中小企業金融円滑化法終了を踏まえた生き残りのポイント!
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こんにちは、To be Managementの山方です。
「財務の見える化」の前に財務に関わる外部環境の変化(中小企業金融円滑化法の再延長)とそれを踏まえた生き残りのポイント(資金繰り)を紹介します。
ご存じのとおり中小企業金融円滑化法(以下、円滑化法)が1年間再延長となりました。
円滑化法を活用している経営者の方は「ほっと」されているのではないかと思います。
しかし、銀行の中間決算(昨年9月末)を見ると引き当てを積み増すなど円滑化法終了に向け銀行が今までと違う動きを始めているようです。
円滑化法は「銀行とともに行う経営改善計画の作成・実行」を謳っていますが、会社側の人材不足や銀行のマンパワー不足により法の趣旨通りに行われていないとの話を聞きます。
そのため、当初予定していた結果(融資先の経営改善)を出すことができず、銀行は円滑化法終了に向けた対策をしているのだと思われます(金融検査で融資先の評価について厳しくなっていると聞いています)。
実際、お付き合いのある複数の銀行マンは「※仮に円滑化法が延長になっても(融資先とは)今までのような付き合い方はしない。(融資先の)選別を始めなくてはいけない。」と言っていました。
※円滑化法の延長が決まる前の話です。
どうやら「ほっと」している暇はないようです。
昨今の経済状況などから円滑化法を活用している会社以外も財務改善を再考すべき時期だと思います。
地道な改善には時間が必要なので、今日からできる生き残りに必要なポイント(資金繰り)についてお話しします。
ちなみに「当社には関係ない」と考えている方々は、これ以上読み進める必要はありませんが、もし以下に該当するようであれば引き続きお読みください。
「最近、銀行マン(担当)の来社頻度が減った。」
あえて、上記の意味を説明することもないと思いますので次に進みます。
中小企業の外部からの資金調達手段は「銀行」がメインだと思います。
そこで、まず知っておいて欲しいのは、銀行は何を見ているかということです。
銀行は「返済能力」を見ています。
誤解をしている経営者の方が多いのですが、銀行は"投資"をしているのではなく"融資"をしています。
つまり、銀行は将来の不確実な売上増加よりも現在の資金繰りや資金創出策(コスト削減など)を重視しています。
そこで、これまで効果のあった返済能力を高める必要なポイントを3つあげておきます。
※資金繰りが悪化した場合の資金調達や銀行との付き合い方については別の機会にお話しします。
(1)資金繰り表を自社で作成し管理する
(2)損益計算書(PL)よりも資金繰り表を重視する
(3)支出の優先度をつける
【資金繰り表を自社で作成し管理する】
銀行から融資を受けている会社であれば資金繰り表を作成していると思います。
ただし、"自社"で作成し、かつ"資金繰りの管理"をしている会社は多くはないと思います。
自社で資金繰り表を作成していない会社では、毎月いくらの支出があり、そのためにいくら収入が必要か正確に把握していません。
その結果、重要度の低い費用への支出や身の丈に合わない投資などが行われ資金繰りの問題が生じることになります。
ちなみに資金繰りの管理が行われていないのに営業などがしっかりしていることはまずありません。
資金も営業も管理が出来ていない会社はいつまでも行き当たりばったりの経営になってしまいます。
自社で資金繰り表の作成や管理が難しいようであれば、早急に専門家の協力を得て自社で作成・管理をする仕組みを作り上げてください。
その際に丸投げは絶対にだめです。
もし、協力してくれる専門家が周りにいないようでしたら、子供のころに作った「お小遣い帳」と同じ管理をしてください。
これだけでも、毎月固定的に必要な費用と営業活動に使う変動的な費用を把握できますので効果はあります。
【損益計算書(PL)よりも資金繰り表を重視する】
これは「黒字倒産」の防止が目的です。
損益計算書上黒字であっても決済ができなければ「黒字倒産」となるので、損益計算書よりも資金繰り表を重視しお金が足りているかを
損益計算書上「黒字」であると経営者は安心し資金の管理がおろそかになる傾向が見られます。
損益計算書はあくまで売れたものに対してのコストと対比して採算性を出しています。
つまり売上とつながっていない在庫や不良化した債権、投資はコストとして認識されません(貸借対照表には計上されます)。
そのため売上に比べて過大な在庫や投資は"損益計算書に現れないコスト"として資金繰りを悪化させます(資金繰り表には現れます)。
例えば、単価を安くするということで必要以上の原材料の仕入れを行ってしまい損益計算書上は黒字でも資金繰りを悪化させてしまっている、のようなことです。
黒字化するために資金繰りを悪化させるのは本末転倒ですが、損益計算書を重視する経営者の方には上記の行動をする傾向があるようです。
※注意する業種
業種問わず気をつけることですが、以下の業種はより注意が必要だと思われます。
a)卸・小売
仕入コスト低下を目的に過大な仕入れが行われる傾向があるため。
b)システム開発
開発費用などを損益計算書ではなく貸借対照表(バランスシート)に乗せることができるため、損益計算書上黒字化させやすく他業種と比べると費用の管理が甘い傾向が見られるため。
【支出の優先度をつける】
経営者は基本的にビジネスに不要な支出を渋ります。
つまり支出はすべて必要なものと考えています。
収入-支出>0であれば、支出は全て必要と考えても問題ないと思いますが、収入-支出<0であれば、支出を削る必要があります(収入を簡単に増やせないため)。
その際には、緊急性と重要性から不要な支出を削る必要があります。
そのため普段から支出の優先度をつけてコストを管理する必要があります。
いざという時にコストが絞れるように常に支出の優先度を緊急性と重要性からつけておくべきです。
優先度は一度つければよいものではなく、優先度のつけ方が正しかったかを必ず振り返ってください。
優先度は状況によっても変化しますので振り返りは重要です。
当たり前な話しばかりでしたが、確実に実行できていると自信を持っている会社は多くないようです。
改善に奇策はないので「当たり前のことを当たり前に実行する」ことを今日から始めてはいかがでしょうか。
それでは次回またお会いしましょう。
「財務の見える化」の前に財務に関わる外部環境の変化(中小企業金融円滑化法の再延長)とそれを踏まえた生き残りのポイント(資金繰り)を紹介します。
ご存じのとおり中小企業金融円滑化法(以下、円滑化法)が1年間再延長となりました。
円滑化法を活用している経営者の方は「ほっと」されているのではないかと思います。
しかし、銀行の中間決算(昨年9月末)を見ると引き当てを積み増すなど円滑化法終了に向け銀行が今までと違う動きを始めているようです。
円滑化法は「銀行とともに行う経営改善計画の作成・実行」を謳っていますが、会社側の人材不足や銀行のマンパワー不足により法の趣旨通りに行われていないとの話を聞きます。
そのため、当初予定していた結果(融資先の経営改善)を出すことができず、銀行は円滑化法終了に向けた対策をしているのだと思われます(金融検査で融資先の評価について厳しくなっていると聞いています)。
実際、お付き合いのある複数の銀行マンは「※仮に円滑化法が延長になっても(融資先とは)今までのような付き合い方はしない。(融資先の)選別を始めなくてはいけない。」と言っていました。
※円滑化法の延長が決まる前の話です。
どうやら「ほっと」している暇はないようです。
昨今の経済状況などから円滑化法を活用している会社以外も財務改善を再考すべき時期だと思います。
地道な改善には時間が必要なので、今日からできる生き残りに必要なポイント(資金繰り)についてお話しします。
ちなみに「当社には関係ない」と考えている方々は、これ以上読み進める必要はありませんが、もし以下に該当するようであれば引き続きお読みください。
「最近、銀行マン(担当)の来社頻度が減った。」
あえて、上記の意味を説明することもないと思いますので次に進みます。
中小企業の外部からの資金調達手段は「銀行」がメインだと思います。
そこで、まず知っておいて欲しいのは、銀行は何を見ているかということです。
銀行は「返済能力」を見ています。
誤解をしている経営者の方が多いのですが、銀行は"投資"をしているのではなく"融資"をしています。
つまり、銀行は将来の不確実な売上増加よりも現在の資金繰りや資金創出策(コスト削減など)を重視しています。
そこで、これまで効果のあった返済能力を高める必要なポイントを3つあげておきます。
※資金繰りが悪化した場合の資金調達や銀行との付き合い方については別の機会にお話しします。
(1)資金繰り表を自社で作成し管理する
(2)損益計算書(PL)よりも資金繰り表を重視する
(3)支出の優先度をつける
【資金繰り表を自社で作成し管理する】
銀行から融資を受けている会社であれば資金繰り表を作成していると思います。
ただし、"自社"で作成し、かつ"資金繰りの管理"をしている会社は多くはないと思います。
自社で資金繰り表を作成していない会社では、毎月いくらの支出があり、そのためにいくら収入が必要か正確に把握していません。
その結果、重要度の低い費用への支出や身の丈に合わない投資などが行われ資金繰りの問題が生じることになります。
ちなみに資金繰りの管理が行われていないのに営業などがしっかりしていることはまずありません。
資金も営業も管理が出来ていない会社はいつまでも行き当たりばったりの経営になってしまいます。
自社で資金繰り表の作成や管理が難しいようであれば、早急に専門家の協力を得て自社で作成・管理をする仕組みを作り上げてください。
その際に丸投げは絶対にだめです。
もし、協力してくれる専門家が周りにいないようでしたら、子供のころに作った「お小遣い帳」と同じ管理をしてください。
これだけでも、毎月固定的に必要な費用と営業活動に使う変動的な費用を把握できますので効果はあります。
【損益計算書(PL)よりも資金繰り表を重視する】
これは「黒字倒産」の防止が目的です。
損益計算書上黒字であっても決済ができなければ「黒字倒産」となるので、損益計算書よりも資金繰り表を重視しお金が足りているかを
損益計算書上「黒字」であると経営者は安心し資金の管理がおろそかになる傾向が見られます。
損益計算書はあくまで売れたものに対してのコストと対比して採算性を出しています。
つまり売上とつながっていない在庫や不良化した債権、投資はコストとして認識されません(貸借対照表には計上されます)。
そのため売上に比べて過大な在庫や投資は"損益計算書に現れないコスト"として資金繰りを悪化させます(資金繰り表には現れます)。
例えば、単価を安くするということで必要以上の原材料の仕入れを行ってしまい損益計算書上は黒字でも資金繰りを悪化させてしまっている、のようなことです。
黒字化するために資金繰りを悪化させるのは本末転倒ですが、損益計算書を重視する経営者の方には上記の行動をする傾向があるようです。
※注意する業種
業種問わず気をつけることですが、以下の業種はより注意が必要だと思われます。
a)卸・小売
仕入コスト低下を目的に過大な仕入れが行われる傾向があるため。
b)システム開発
開発費用などを損益計算書ではなく貸借対照表(バランスシート)に乗せることができるため、損益計算書上黒字化させやすく他業種と比べると費用の管理が甘い傾向が見られるため。
【支出の優先度をつける】
経営者は基本的にビジネスに不要な支出を渋ります。
つまり支出はすべて必要なものと考えています。
収入-支出>0であれば、支出は全て必要と考えても問題ないと思いますが、収入-支出<0であれば、支出を削る必要があります(収入を簡単に増やせないため)。
その際には、緊急性と重要性から不要な支出を削る必要があります。
そのため普段から支出の優先度をつけてコストを管理する必要があります。
いざという時にコストが絞れるように常に支出の優先度を緊急性と重要性からつけておくべきです。
優先度は一度つければよいものではなく、優先度のつけ方が正しかったかを必ず振り返ってください。
優先度は状況によっても変化しますので振り返りは重要です。
当たり前な話しばかりでしたが、確実に実行できていると自信を持っている会社は多くないようです。
改善に奇策はないので「当たり前のことを当たり前に実行する」ことを今日から始めてはいかがでしょうか。
それでは次回またお会いしましょう。
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