「次世代メディアマーケティング」を読まずしてマーケティングを語ることなかれ
さて、今年最初の書評 (というか読後感想) は、「次世代メディアマーケティング (ISBN978-4-7973-5557-4)」です。帯に「21 世紀のマーケター必読の教科書」とありますが、まさにそのとおり。 是非とも皆さんに読んでもらいたい本です。
本書は、世界有数の広告会社オグルヴィ・アンド・メイザー (お世話になりました) の日本法人社長が、共著者として名を連ねていることに加え、高広伯彦さんが監修されているものです。本書では、ブロードバンドや携帯電話等の環境や、ブログや SNS 、Twitter に代表される新しいメディア・チャンネルといったものが、マーケティングをどう変えていくのか、どう活用していけばいいか (デジタルマーケティング、デジマーケティング) を、非常にわかりやすく、12 の原則として整理しています。
デジマーケティング 12 の原則- 「消費者 = 視聴者」から「消費者 = 参加者」へ
- 「インプレッション、フリクエンシー」から「関わり、交流」へ
- 「ブロードキャストメディア」から「アドレサブルチャネル」へ
- 「固定的」から「流動的」へ
- 「マーケター主導」から「消費者主導」へ
- 「プッシュマーケティング」から「オプトインに基づくシェアマーケティング」へ
- 「従来のメディアプランニング」から「ニューメディアプランニング」へ
- 「コントロールされた PR」から「デジタルインフルエンス」へ
- 「統合マーケティング」から「統一マーケティング」へ
- 「時々データを活用」から「常にデータを活用」へ
- 「事後トラッキング」から「リアルタイム測定」へ
- 「部分 ROI」から「最適化」へ
ユーザーが生み出したこの情報流通網に入り込む時、マーケターは一方的な情報発信者であることは許されない。これまでは、情報の発信者 (= ホスト) であればよく、情報の受信者であるユーザーはゲストとして定義されたが、これが逆転し、マーケター自身がゲストすなわち、ユーザーの情報流通網 (= コミュニティ) にお邪魔する立場をとらねばならないということになってきている。つまりは、「よそ様にお邪魔するならそれなりのマナーが必要だ」ということだ。ただ残念なことに、相手にとっても喜ばしいことをシェアするといういう、円滑なコミュニケーションをうみだすために当たり前のことが、こと新しいツール/メディアの世界になると忘れられてしまうのだが....
「視聴者から参加者へ」と消費者が変わったことの理解・認識が、スタートポイントであることを再認識しました。昨年、いくつかのブロガーイベントに参加しましたが、この基本からぶれていたイベントは今一つであったことを覚えています。
ソーシャル・メディアを活用したいと考えている方、お客様とのコミュニケーションに悩んでいる方にとって、刺激の多い本です。柳下も、事ある毎に読み返そうと思っています。
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