「主文後回し」に肩透かしをくらったテレビ局
本日正午過ぎに「山口県光市の母子殺害事件」の判決が出ました。結果は、世論および各方面の予想通り、極刑の死刑との判決でした。事件そのもの、裁判制度、そして弁護士のモラル等に関して様々な側面で注目を浴び、論議の対象となった事件でしたが、司法的には一件落着でしょう。
さて、それよりも本日興味深かったのは、10時から開廷された判決言い渡しでした。なんと主文は後回しということで、通常では主文(判決)の言い渡しが先に行われ、そのあとに論旨の展開が行われますが、テレビ各局は肩透かしを食らった状態でした。番組構成上も、10時から法廷で主文が言い渡され、若干の解説を加えて他の番組へ移行という流れを想定していたようですが、さぞ編成・構成側も困ったものと思います。
裁判官の意図はわかりませんが、「皆さん判断した内容をしっかり聞いたうえで、判決を受け止めてください」ということでしょうか。それとも、マスコミの過剰な速報・報道(判決理由を聞く前に主文に対して解説を加えてしまう)へのけん制でしょうか。その意図も気になるところです。
テレビ局によっても対応もまちまちでしたが、やはり半分は番組として整合性のとれる範囲で長々と引き伸ばし、半分は諦めたように時代劇やら料理番組へ突入しました。
また、今回とても注目を浴びた裁判ということもあり、被告入廷で記者が走り、主文後回しで記者が走る、という姿がどのテレビ局でも見られました。これだけの人数を各局がかけたとしても、結局どの局も同じ内容の報道しかできないという事実を分かっていても、未だに代表者が全局分をまとめて報告という形態に移行できないテレビ局の在り方にも、裁判と同じ制度の硬直化、合理性の欠如という問題を感じました。評論・解説でも目立った特徴もありませんし、そのような報道であれば、すべての局で同一の内容(事実だけ)を行ったほうがかえってよいのではと感じます。