マネージメントが精神論だけを語りだしたら…
物事を動かす時、そして困難な事象に対応するときに精神論重要です。関係している全員の気持ちや方向性を一つにするために、精神論を説くことがときに有効な手段になります。
しかし、その一方で問題や課題を解決するときに、精神論にしか頼らないマネージメントは本来のマネージメントの機能を果たしていません。危機的な状況で、具体的な解決を伴わない精神論を打ち上げる人ほど、実は自らその窮状に関して責任を感じていないだけでなく、具体的には何も解決する力を持たない、いわば”はりぼて”のマネージメントであったりします。
また、危機的状況で精神論しか語らないマネージメントに見られる傾向としては、初めの手段(条件反射的手段)として組織的の組み換え、人員の追加、上層部へのエスカレーションといった短絡的手法を選択する傾向があります。問題を冷静に見つめ、解決に向けたシナリオ、具体的リスク、実現可能性といった対応方針として検討を行い、実行を指揮すべき内容に関してはすべて他人まかせで、自らがそのようなことを行うマネージメントとしての資質を失っていることもよく見かけます。
このようなマネージメントによくありがちなもう一つの傾向として、その場しのぎの対応や、対立意見や正論の排除という策をうつことがあります。これは、具体的に対応ができないことに関して、マネージメントとしてのプライドだけが形骸化した状態で残っていることに起因します。時には、冷静に事実を理解する前に、自らが解決できない意見に対して「仕方が無い」、「現実として無理だ」と言った言い訳めいた対応を行い、最後は「一生懸命やっているのだからそれ以上は無理」という開き直りに近い対応を示します。
もうこうなると、対応に関しても精神論しか残されていないのが現状で、結果として部下が苦しむか、お客さまが被害を被るか、さらには大きいリスクを内在したまま問題が先送りされます。
マネージメント層が精神論を唱え始めたとき、そして事実を無視した単純対応を始めたとき、それは近い将来に爆発する大きい爆弾を抱えてしまったときと認識しましょう。