防衛庁の事件に思う
防衛庁の事件(現時点では収賄かどうか解りませんが、収賄に関してではありません)に関する様々なやり取りを見ていて、IT業界にも似たような構図があると感じています。
戦闘機のエンジンの適正価格がいくらであるか、また購買の条件が適切であるかということは、非常に専門的で多くの人には解りません。かつ、参加できる競合や販売代理店も少ないため、優劣の決定には単純なものさしが働かない状態に陥ります。その結果(贈賄等と関係なくとも)、適切なものやサービスを、適正な価格で購入しているかというチェック機能が完全には機能しなくなります。
システムの世界でも、同じ状況は多々発生するわけで、システム以外にもコンサルティングでも同じことが起こります。特に随意契約に近い状態になればなるほど、適正と言う言葉はほぼ無意味になり、非常に高値でありながらも十分な内容でないものを発注することが多くなります(年金のシステムもそうだったのではと思います)。
購買、選定には独立した管理や助言を行う第三者が必要なのですが、防衛庁のようなシステムよりも閉ざされた世界ではそのこと自体が難しいのでしょう。その結果が、今回の一連の事件の温床となっていますし、そのチェック(途中での水増し等を見破るために)のために、防衛大臣が言っていたように、販売もとに電話して「請求書あってますか?」、「正しい金額ですか」と聞くのもそれはそれで、本来の解決策ではないような気がします。
どちらにしても、「適正な価格とは」という命題はこれからも続きますし、同時に適正な業者であるかも含め確実にチェックする機能、監査機関を持つことは、防衛省だけでなく、システムの発注にも必要なのではと思います。
(余談ですが、防衛庁の時代には担当者は商談だけでなく、プライベートでも喫茶店にも一緒には行ってくれず、自動販売機のコーヒーですら折半で買ってお話をするような、きちんとした方もいらっしゃいました。今回の事件も、高位でありながらその責任やモラルの欠如した方々のお話だと思いますし、防衛省全体がすべて同じだとは思いません)