オルタナティブ・ブログ > IT業界のマーケティングを問う >

戦略、プロモ、広報など実務から見たマーケティングをお話します

何故、「年金調査が難しくなっているか」という番組をこの時期に放送するのか?

»

昨日NHKで”消えた年金問題”の調査状況に関する番組を放映していました。

うがった見方をすると、

  • 何故この時期に詳細な調査方法を説明する番組を放送するのか(そもそも、調査不可能となる可能性があるという問題が再燃する前、社会保険庁の調査に関する現状を取材して、リスクの存在を指摘すべきではないのか)?
  • いかに調査が難しいか、莫大な資料を目の前にして時間をかけて調査をしても見つからないという事実だけを延々と流すのか(できないことを、ここまでやってもできないのであれば時間がかかったり最終的に見つからなくても仕方がないという正当化と映る)?
  • 現状の調査手順に関する問題点や改善に関して何も指摘がないのはなぜか(調査方法を確認している限りでは、別のキーを使って調査を行うなど、調査方法にもまだまだ工夫の余地がある部分に関して専門家の指摘などが行われず、現状の調査が最善の方法であるという論調にたっている)?
  • 過去の社会保険庁の管理や、体制の問題点を指摘して、かつ元職員がずさんな管理を暴露しているように映るが、実際に責任を取れずかつ何の対応にも参加できない人のコメントを加え、責任は過去のオペレーションにあるが責任を取る人がいないという状況を是認しているような論調を正とするのはなぜか?
  • 枡添大臣だけでなく、前大臣、首相、前首相など、今回の件で発言をしている人にも番組で発言(説明)をさせないのはなぜか?
  • 「今後、調査にお金がかかる」ということを是として話を進めているが、誰のお金を使うのか明確にしないまま、お金を使わないと出来ないということで話をすすめてしまうのはなぜか?
  • そもそも何故NHKだけが取材して番組を組めるのか(民法は、社会保険庁の中に入って調査の現場をドキュメンタリー化はできていない、窓口での対応を確認するという間接的な方法しか許していない)

ということがとても不自然に映りました。公共番組といいながら、NHKを通じて現状で公約通りの結果を示すことが難しいこと、完全に出来ないときの言い訳、さらには今後の時間・労力・資金投入に関する正当化のための番組と感じてしまったのは私だけでしょうか。

どちらにしても、職員だけに任さず外部の専門家を入れて調査方法を含め再度全面的に監査を行い、「現状では難しいです、できません」という言い訳を許してはならないと思います。また、業務・システムの考えもはっきり言ってお粗末です。原票とのずれは起票側の責任、帳票から入力へはミスは無いという前提で、入力ミスの確認、チェック機能の追加、監督などを怠ったことや、キーが不在の状態でも登録を許していること、さらには番号をキーとしたとしてそのキーに異常があった場合に他のデータ項目を使用して回復する方法など、基本的な設計レベルでのお粗末さが目に付きます(このような設計をしたベンダにも費用負担を求めるべきだと思います)。

また、費用の弁済に関しても、枡添大臣は「制度がないので、過去の責任者から給与等の返納を求めることは困難(強制はできない)」という発言がありましたが、「もらったものは返さない」、「過ぎたことの責任は問わない」のであれば、今の官僚、職員、大臣を含め、最小限の給与以外は全面的に返納させるべきですし、それ以上に制度を作って過去の責任を追及すればいいだけではないでしょうか。聞こえはいいのですが、結局のところ身内をかばっている発言に聞こえてしまいます。もう一つ知りたいこととしては、社会保険庁に勤めていた人の年金が消えていることは無いのでしょうか。全員がきちんと満額受け取っているのであれば、その人たちの年金の一部も調査の原資にあてるべきではないかとも考えてしまいます。

Comment(6)