南アフリカに見る、開放の結果の基盤崩壊
南アフリカの治安がかなり悪化しているようです。国際空港からの帰宅中や宿泊先へ移動中の旅行者が武装集団に襲われる事件が連続して起こっているようで、同国の国連大使も被害にあったようです。南アフリカといえば、次回のサッカーワールドカップの開催場所。このまま、このような状況が続くと開催自体も危ぶまれるのではと思います。殺人事件の発生率は日本の40倍、アメリカの7倍で、世界でも最悪のようです。
この背景には、社会構造上の問題もあるようで、「警察機能のまひ」、「身内の犯罪」といった、犯罪を見過ごすだけでなく、さらに増加させていくような治安構造が蔓延しているようです。
不思議なことに、それまで抑圧されていた、よく言えば統制されていた社会が紐解かれると、とたんに社会の制度を維持していく基本的な機能や治安構造などが壊滅的な状況に陥ることがよくあります。それまでは、個人の権利や幸福(利益)のようなものが、権力によって統制されていたことに対して、個人の活動によって決まることになった結果、一般的な社会経済活動ではなく、犯罪というリスクは高いが一攫千金という短絡的な行動に走らざるを得ない環境がそのような社会を生むのでしょうか。
”自由が無い、一部の特権階級のみが裕福な生活をする、安定した社会”と、”自由だが危険がいっぱいな社会”のどちらをとるかという2択はできませんが、果たして社会基盤を崩壊させてまで得た自由は、本当に人々の幸福につながるのか考えさせられる社会事象です(亜パルヘイト自体は極端な制度ななのでそこからの開放は最小限必要なことであることには同意します)。
日本も、戦前、戦後と時代を経てきて、規律のある社会、統制された社会から、段々と自由な社会という文化が定着してきていますが、それにひきづられるように様々な社会問題が発生し始め、増加し始めています。美しくなくてもよいので安心して生活ができる国づくりを目指して欲しいものです。