営業は若ければよいのか、専門家でなくてよいのか?
いろいろな会社の営業の人とお話をする機会は多いですが、常に疑問に思っていることがあります。それは、ITサービス会社(例をあげればシステムインテグレーションを生業にしている会社)の営業の方には、圧倒的に入社時から営業をされていている方が多く、営業課長、営業部長さんであっても営業出身の人が多いということです。つまり、通常であればシステムエンジニアは一般のマーケティング・セールスとは別の特別な専門職だという考えもできますが、ITサービス会社では営業が専門職であり、別のキャリアパスを持っているという考えが強いようです。
本来無形のサービス・作業が根底を占めるITサービス業は、営業技術のレベルとしてかなり高度なものを求める業態だと思います。比較としては極端ですが、無形のものを極めるコンサルティング業では、組織の上層部が営業活動を行うことと比べた場合には、若干ゆるやかですが、専門性を売る、無形のものを売るという難しさを考えると、営業としてはコンサルティングに準じるものだと思います。
若くして(入社時から)営業一筋というのもひとつのキャリアパスではあると思います。しかし、無形のもの、専門性を売るという営業活動には自らの経験が必要で、受注後のケアに関しても現場まかせでなくある程度の行動を取ろうとすれば、現場のPMと対等に渡り合うだけの経験が必要になります。そういった意味でも、ITサービスの営業は、単純に人手があればいいわけでも、人当たりがよく、体力があるだけでもだめであり、やはり経験とある程度の専門性をバックグラウンドとして持つべきではないでしょうか?個人的には、プロジェクトの現場をこなし、PMの職務を全うした人が営業として活動をすることがベストだと考えます。
また、無形のものの営業活動で最大の難関は契約です。今までの日本的な商慣習の契約書ではどうしても仕事の内容、責任などが曖昧になってしまいます。しかし、これからはITサービスの契約書も欧米並みに明確な文章に変わっていると思います。そのような流れの中では、営業職には、経験に照らし合わせる形で仕事の内容を把握した上で、高度な契約知識、交渉能力、法律知識等が必要とされると思います。