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発注側にもある現場力の低さ

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昨日「ゼネコンの現場力の低下、ITサービスの現場力の低下」という投稿を書いた後に、他の雑誌を見ていると、ダイヤモンドに面白いショート記事が載っていました。「プリズム」というコーナーですが、「日本の電子政府瞑想の原因は人材不足にある」という主張がなされていました。これは昨日の「ゼネコンの現場力の低下、ITサービスの現場力の低下」での、管理者の能力不足と被るところがあります。

昨日の投稿では受注した施行側(つまり、システムインテグレーション等のITサービスを行う側)の問題でしたが、反対側面から見ると発注側にも知識・経験・能力のある人材が不足しているという現状が指摘されています。一括発注の問題点を指摘され、社会保険庁の新年金システムでは分割発注が進んでいる状況に対しても、「丸投げより高度な管理能力が必要な分割発注を今までと同じ体制でできるのか」という疑問を呈しています。

確かに、人材は不足していると思います。官庁もITに関する人材不足は感じているのでしょう。そこで丸投げの形で外部に頼ったのですが、やはり要件定義能力、さらにはベンダ管理能力も含め、外部の専門と言われる企業にも人材はいなかった現実があります。さらに悪いことに、その中で適切な結果管理、コスト管理が行われなかったため、自浄能力の低い官公庁ビジネスではベンダ側にも人材の育成、品質の向上などの理屈は働かなかったものだと思います。

官だけでなく、発注側にたったときの民間企業も同じだと思います。施行面の能力低下だけがプロジェクトの失敗の原因ではなく、その低下をきちんと見破り、適切な発注元管理を行う能力を持ったスタッフを育てること、これが発注側にも求められるのではと思います。

その一方で、情報システム部門を外部に売る、さらには子会社化して完全に自主ビジネスに転換させる会社が増えていますが、これこそまさにITガバナンスが成立しない企業経営の形態になると思います。あくまでも適正な規模、内部として必要な人材を残すことは最小限発注側としてしなくてはいけない経営事項だと思います。

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