dancyuにみる企画の広がり方
いくつかの雑誌を定期購読していますが、ビジネス誌が殆どです。その中でもうかれこれ7-8年読み続けている雑誌にdancyuという雑誌があります。プレジデント社から出版されている、食に関する雑誌ですが、いつも楽しく読んでいます。
ビジネス誌同様に、テーマとなる食材や料理の特集はある周期を持って廻ってきますが、継続的に購読していても、前回の特集と異なる主題が織り込んであり新鮮さを維持し続けています。食材もお店も、これだけ長い期間続けるとネタがなくなるのではと思いますが、同じ主題であっても、切り口を変え、きちんと取材を重ねることで、また新しい発見を教えてくれます。
この雑誌の成功の理由を、個人的に投影してみると、単なるお店を紹介するグルメ雑誌ではなく、家庭で出来る作り方を教えることで、いわゆる料理好きの気持ちをくすぐりますし、お店だけでなく取り寄せの仕組みも提供することでいわゆる家グルメの人達も満足がいきます。さらに、食材だけでなく調理器具、ギフトなど、食に派生して考えられる様々なシーンに対して、多くなく、少なくない情報を提供し続けていることも、成功の要因だと思います。
また、雑誌全体が、広告も含めて読み物になっていることも特徴だと思います。食材やテーマに合わせて広告が載りますが、単なる広告ではなく、読み物仕立てにされた広告で、さらにその中にもレシピが載っていたり、お店の紹介が乗っていたりしていて、広告スペースと言えども楽しませてくれます。
このような仕組みを作り上げるためには、出版社、編集の人達が完全に読者の視点に立って雑誌作りをしているのではと推測します。無理に企画を出すのではなく、こんなことを知りたい、こんなものを読みたい、こんな情報があれば便利といった読み手の視点(簡単なようで難しいことですが)で企画を膨らませていっているのではと思うと、案外単純なことに企画の展開のヒントがあると思います。
dancyuの成功を見てか、他にも似た様な雑誌がいくつか出版されていますが、私個人的にはまだまだdancyuにとって変わるものではないと思います。これからも楽しみにさせていただきたいと思います(できれば、一度dancyuで文章も書いてみたいなとも思っていますが、そんな機会は万が一にもこないでしょうが・・・)。