農業をビジネスとして捉えると
機械化や集約化が進む遠洋漁業や養殖漁業と比較した場合、農業、近海漁業、そして林業などの産業は、国土面積、コスト、そして何よりも経営的観点での取り組みよりも、家業的色彩が強いため、産業としての活性化が滞っています。
特に農業は、一部カゴメ等の大企業による産業化(?)の例を除くと、日本ではかなり立ち遅れた感があります。原因の一つとしては、旧態然とした国による補助等の制度や、経営というよりは権益のための仕組みに近い農協など、歴史的に農業を育てる発想ではなく、単純に組織化することだけを目的とした取り組みが上げられます。段々と改善されているようですが、まだまだ欧米に比べると(補助金は各国も同じようなものも存在しますし、政治的な仕組みに組み込まれていることはどこの国も同じですが)経営としての考え方は浸透していないと思います。
最近読んだ「農業は有望ビジネスである!」という本では、大潟村で減反政策に対抗したことで旧態然とした体制からはじき出された結果、自力でビジネスを立ち上げていく涌井氏のこれまでの取り組みが紹介されています。当初は、米を作れない、作っても売ることが出来ない中での試行錯誤から始まっていますが、途中から農業をビジネスとして、そして何よりも経営として考え始め、現在の成功の礎としています。今でいう一種のベンチャーに近い状態ですが、ネットベンチャーに比べると、その歩みはより強い足腰を作っていく地道な起業だと感じます。
これから、人口が減少し、高齢化に向かう中で、サービス産業もかなり偏った成長を見せると思いますが、その一方で日本の農業を衰退させないためにも、どんどん高齢化して産業としての衰退が危惧される農業にも、経営の概念を持ち込み様々な試みを行うベンチャーが登場することを期待しています。