チャンバラ・ピープル
オフィスの何百冊の本に中に、息抜きのためにちょっとふざけた本を数冊おいています。サン・マイクロシステムズの時代に、当時係争中だったマイクロソフトをおちょくるために作ったマンガ本(薄い冊子)もありますし、FOCUSの最後のページを飾っていたマッド・アマノの「新しい歴史狂科書」などもおいています。
その中でも、皆様が多分ご存知ないであろう、扶桑社のウィリアム・トールマン著「チャンバラ・ピープル」という本をご紹介したいと思います。
週刊B-ingの連載から本として出版された、ミネソタ州立大学大学院教授で比較文化論を専門とする日本文化の研究を行っているウィリアム・トールマン博士が、通訳のカトー君と生の日本文化にいろいろ触れ、新しい理論を展開するマンガです。
本には、秋元康氏との対談(写真付き)、著者略歴、著作物の紹介(Chonmage Companyというのもありました)、挨拶やあとがき、そして著者のポートレートまで載っています。
しかし、実はウィリアム・トールマンは実在の人物ではなく、プロデユースしたIBEJINさん(サンの時お仕事でご一緒した方で、トンネルズの番組の脚本とかかかれてる人です)が仕立てた架空の人物です。面白おかしくも、要所要所に妙なリアリテイーを振りかけているため、某地方テレビ局がわざわざ東京のIBEJINさんのところまでいらっしゃって、ウィリアム・トールマンへの取材申込を行ったというおまけまで実際には起きたそうです。
展開される理論が面白く、いくつか紹介します。
そのころの10-20代の人の口癖であった(ある?)「おしゃれ」という言葉に代表される自分の行動決定の傾向に対しては”出っ歯”に類型化される「DEPPPA理論」
- Decorative:ゴテゴテと装飾的な人間である。
- Exhauseted:とにかく根こそぎ、という人間である。
- Pasing:ただ通り過ぎるだけの人間である。
- Paltered:人と真剣に関わらない人間である。
- Americanized:依然としてアメリカ的なものを欲する人間である。
そして、ウィリアム・トールマン教授紹介する、大先輩のデビット・ムーア教授が考案した欲望型人間モデル「DEBESOn」
- DEbauched:放蕩、不摂生、暴飲
- BEgrudging:うらやむ、ねたむ、嫉妬する
- perSOn:人間(この理論では人間に内在する悪魔の部分らしい)
さらに、あなたの人生大相撲化チェックの8ポイント
- 自分の家の周りに外人がうろついていると不気味な気がする(⇒外人排他主義)
- 相手と口論していると、無意識のうちに誰か仲裁に入って欲しいと願っている(⇒行司期待思想)
- 結論が出ても、くつがえることがあると思っている(⇒物言い肯定主義)
- 会社の中での人事異動の内容が気になってしょうがない(⇒番付隷従)
- 出張は”儲かるもの”という認識がある(⇒地方巡業制度の名残)
- 仕事を発注する際には接待を受けて当然だと思っている(⇒ごっつぁんです思想)
- 女性には優しいほうだが、仕事に口出ししてほしくないと思っている(⇒土俵への女性の立ち入り禁止)
- なんのかんの言っても毎年正月には初詣に行っている(⇒弓取り式礼賛主義)
そして、「知性のプロポーション82・58・86が理想」という提言
- B82:はに(82)かまない⇒知りたいことは、恥ずかしがらず人に聞く
- W58:いつわ(58)らない⇒知ったかぶりをしない
- H86:はむ(86)かわない⇒知らないことを馬鹿にされても、決してむきにならない
後は、当時の女性の傾向を分析した「知ったかラズカ」理論
- 「知ったかラズカ」はノーガキがお好き
- 「知ったかラズカ」は議論がお好き
- 「知ったかラズカ」は文化の香りがお好き
- 「知ったかラズカ」はズバッと言われるのがお好き
日本に渋滞がなくならない理論として「渋滞安心理論」や「渋滞快感理論」なんてのも展開されていました。
こんな面白い本でですが、やっぱりマニアックなので、今は絶版みたいですね。たまに中古がでますので、機会があったら読んでみてください。個人的に、私とお知り合いの方はオフィスにありますので、オフィスに遊びに来て読んでみてください(持出は不可です)。