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「楽しく仕事をする」ことと「仕事が楽しい」ことの誤解

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お客様の経営層の方々とお話させていただくときに、よく話題になることの中のひとつに”従業員のモチベーション”があります。順風満帆に見える会社を含むどちらの会社でも、働いている方のモチベーションを維持することに苦心されています。いろいろな方のお話を総合すると、”給与が高いこと”がモチベーションにつながるわけではなく、下手をするとモチベーションは低いが給与が高いから会社を辞めずに残るという、最悪のパターンにはまることも多いようです。

(サラリーマンであったときは、「仕事してる分は払ってくれ」と思いましたが…)

一番重要なことは”社員の方の仕事に対するモチベーションを上げる”ことです。これは多くの経営層の方々に共通した当たり前の見解ですが、その実現のためのアプローチが人によって大きく異なります。

私が常日ごろ、「社員の方々に”楽しく仕事をしてもらう”ことではなく、”仕事が楽しい”状態を作り上げるのが経営者の仕事です」お客様へ申し上げています。

「楽しく仕事をする」ことと「仕事が楽しい」ということは、一見似ていますが本質的に異なります。

「楽しく仕事をする」ためにはオフィス環境や、周囲の人間関係、余暇、レクリエーションといった、主に環境や福利厚生といった類の施策を講じることになります。確かに「仕事は楽しくできる」と思いますし、仕事が捗るという意味で一定の生産性は向上するかもしれません。しかし、社員が仕事自体に対して感じる価値は変わりません。

一方で「仕事が楽しい」状態では、仕事自体の価値が社員に伝わっていることが必要になります。また、社員も日々の仕事の中で、自己の作業自体が楽しいため、いわば自己鍛錬を自然に行うことができ、その結果生産性も上がります。それどころか、社員の向上心が芽生え、社員のポテンシャルが多く引き出されることで、社員全体の力が上がります。

”楽しい仕事を作り出し、仕事を楽しくすること”。これが経営者・管理職の仕事だと思います。

(でも、人財を流出させないためには、給与や福利厚生も重要ですよ!!)

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