書評「テレビCM崩壊」
内田さんの9月8日の投稿「広告モデルはカネを産むか?」でも、ネットを使った新しいビジネスと言われるものの収益モデルに関して、様々な意見が出ていました。基本的なビジネスモデルのブレークスルーが無いまま、サービスモデル(形態)だけが技術や法制の変化に応じて変わってきているというのが、私個人の持論です。
その一方で、変わらない広告主動のモデルの中で、オールドメディアVSニューメディアに関して繰り返されている議論を再度整理している本を見つけました。「テレビCM崩壊 マス広告の終焉と動き始めたマーケティング2.0」という題名で、これまた原題に対しても激しく売上を意識した題名です。
内容は、テレビ広告の効果がない実証と、まもなく力を失うという予測、インターネット上やその他の技術を活用した新しい広告モデルに関する実例やアイデアが多数出ています。けれども決して新しいものではありません。ネタやアイデアを探そうとする人にはあまり不向きだと思います。
その一方で、あくまでも客観的に、消費者がどのように変わってきているか、何が広告の環境の変化をドライブしているのかと言うことに関して、一般的な技術主導、インターネット中心のお話よりも、より論理的、多角的に説明をしています。
この本から感じることは、逆説的に、広告モデルに頼っているビジネスが多く存在している限り、テレビ広告も含めた広告は減らないだろうという、広告を出稿する側の論理の欠落です。WEB2.0、マーケティング2.0といっても所詮は既存のモデルの改善型であり、季語としての意味合いしか持たないものです。根本的なビジネス・モデルの変化が起きたとき、その時にはテレビ広告も含めマス広告も別の形態で息を吹き返すのではと思います。