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企業ITもクラウド的な世界に向かい始めた今日この頃を徒然に‥

米国政府とクラウドの定義

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オバマ大統領は、ワシントン・コロンビア特別区でCTO経験のあるVivek Kundra氏を連邦政府のCIOに任命して、ITによって政府のパフォーマンスと政策コストを下げると宣言しているそうです。さらに連邦政府の調達を司る米連邦政府一般調達局(GSA)にはクラウドのCTOという肩書きの人が任命されていて、政府のクラウド調達に関する基点になると想定されています。

そういった環境の中でCIOのKundra氏は、先週ワシントンDCで連邦政府のクラウド・サミットなるものを関係者を集めて開催したそうです。その中で、米国の企業、政府の技術採用に標準の観点で影響力の強い米国標準技術局(NIST)が、各界の意見をまとめてクラウドの定義についてドラフト版を公開したそうです。

皆さんはクラウドの定義については聞き飽きたかもしれません。かく言う私も、どちらかと言えば定義より実態、と思っているほうです。ただ、米国政府や企業の標準に今までも影響力の大きかったNISTですので、今後この定義が意味を持つ場面も多いのではと思い、ここで要約で一部を紹介してみたいと思います。その中では、まずクラウドの特徴を以下のように5つに集約しています。

  • オンデマンドのセルフサービス - 人の仲介なしに必要な分のコンピューティング能力を得られる。
  • どこからでもネットワークアクセス - さまざまなクライアントからの利用が促進されるネットワークごしでの提供。
  • 場所が意識されないリソースのプール化 - さまざまなリソースを場所を意識せずにマルチテナントで提供される。
  • 迅速な弾力性 - 迅速にスケールアップやスケールダウンされ、いつでも無限にもおもえるリソースが提供される。
  • ペイ・パー・ユース - 課金が、リソースの使用量、サービス単位、広告モデルなどで最適化されるようになされる。組織内のクラウドでは組織間でこれらの課金が行われる。

あとは提供モデルとして、SaaS、PaaS、IaaSに分類し、展開モデルとして、プライベート(組織内)、コミニティー(複数組織間での共有)、パブリック(一般へと業種グループなど)、ハイブリッド(これらの混ぜあわせ)と分けています。

今までマーケットで言われてきたことを整理した、という程度のものですので、そう驚くような定義ではないでしょう。ただこれがNISTの定義ということで、政府が絡んだときに、クラウドと呼べるものか呼べないものかと分ける基準となるかもしれません。そしてそれをドライブするCTOが政府の適切な官庁にいて、全体をみているCIOがリーダーシップをとっている、という構図としてとらえることができると思います。

かの国はリーダー、体制、定義などはさておき、予算づけ、なんでもクラウド的な緩い定義でのサービス開始、というように見えます。予算がついて走りだしている方が進んでいると言えなくもないですが、まずはきっちりとした体制や何を作るか、どう使うかということをきっちり議論しているというのは、最後の結果の質がかなり違ってくるのではと想像しています。

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