クラウドを集中と接続の時代とみる
90年代に米国でのITやインターネットの様子をニューヨークから伝えていた、『前川レポート』の前川徹氏(現在サイバー大学教授)のクラウドに関する公開授業を聞いてきました。
ITなどのトレンドをそのときの技術や特徴で波として捉えるのはよくありますが、メインフレーム、PC、インターネット、クラウドと4つの大きな波とする見方があるようです。前川氏は、この4つの波を、コンピュータの分散と集中、そしてそのネットワークでの分断と接続という視点で捉えて説明していました。
つまりメインフレームの時代は、資源が集中し、かつ分断されていた。PCの時代は、資源が分散しはじめたが、まだ分断されていた。インターネットの時代になり、資源は分散されつつも、接続されてきた。そしてクラウド時代には、資源が集中し、そしてかつ接続されている。という説明です。
この波の移り変わりを技術要素で説明していくとこんな感じになるでしょうか。汎用コンピュータの発明により、コンピュータ資源はメインフレームとして特定の場所の集中して存在するようになったが、それらは分断された関係にあった。やがてマイクロプロセッサの発明により、PCとして計算ニーズのあるさまざまな場所にコンピュータは分散して存在するようになったが、それらも分断された関係にあった。TCP/IPというたくさんのコンピュータを接続できるネットワークの発明により、分散されたコンピュータ資源は情報の発信と共有のために接続されてインターネットを形成した。さらにあらゆるネットワークがブロードバンド化することで、コンピュータ資源は再び規模の経済をもとめて集中化していくクラウドとなっていく。
IBMの創業者のWatson氏が、『コンピュータは全世界の市場でせいぜい5台ぐらいしか売れないだろう』といい失笑を買いつつ、そして2006年SunのCTOのPapadopoulos氏が、『ワトソン発言は最後に正しかった、と皆が理解するかもしれない』と弁護し、5つは大きなクラウドの寡占化を予測しました。ちょうどこれが『集中の接続』のクラウドの世界ですね。ちょっと整理ができてすっきりした感覚です。