アウトソーシングが一部進化し派生したクラウド
『クラウドは単なるバズワード』、『クラウドは将来の技術』などと、現時点でのクラウドブームは必ずしも快く受入れられていない今日この頃かと思います。
もとを考えればクラウドは、外部のITリソースやらアプリケーションをネットワークを介して利用するものです。その意味ではアウトソーシングの一部進化した形、派生したものと考えるのも冷静な表現かと思います。
2000年頃のアウトソーシングに関するまとめの記事をいろいろ探してみると、その期待値は、"複雑化とコストへの対策"、"IT人材やノウハウ不足の解消の対策"、といったところがよく出てきます。一方でアウトソースの大きな課題として、"継続的な管理責任、そしてSLAの必要性"といったところが論じられています。このあたりは、これだけではないにせよ、まさにクラウドでも言えることで、外部ITという形態からもアウトソーシングの派生という考え方も自然でしょう。
では、過去のアウトソーシングになくて、今のクラウドにあるものは何でしょう。すべてのクラウドが備えてはいませんが、一般的には以下のようなもの項目があるかなと思います。
- 動的なスケーラビィリティー
- マルチテナントによる経済性
- サブスクリプションによる細やかな課金
- カストマイズによるアプリケーションの柔軟性
- 継続的な新技術の取り込み
これらは、初期のアウトソーシングでは、データセンターをまるごとといった形態であったため、また当時の技術では困難だったために実現できなかった項目ばかりです。その意味ではアウトソーシングが技術により進化し、クラウドとという形態を生み出した、と考えても悪くないでしょう。
このように考えれば、アウトソーシング市場はクラウドによって更に活況を帯びている、と言いたいところです。が、アナリストの見方は、クラウドは今後の伸びが著しいのに対して、アウトソーシングはどうもデータセンターまるごといった契約形態のもののみ扱っているようで、IDCのレポートでは、2007年以降成長が鈍化しているそうです。
見ているものは同じものですが、分類と定義がいろいろな表現をもたらすものですね。