動機づけしなければやる気は芽生えない。
アカウントマネジャーになってしばらくは、正直「仕事を獲る」ことに楽しみというか達成感がありました。なので、獲ったあとの「実行」については、その仕事を任せられるデリバリ・マネジャーをアサインして、実行面の指揮をとってもらうのですが、今だから言ってもいいかと思いますが、この割り切りがはっきりしすぎていたようで、「獲ったあとのフォローやアドバイスがない(顔を出してくれない)」という批判をよくされました。
アカウントが適正な数だといいのですが小規模多数になったり激しく稼働傾注のアカウントがあったりすると、各アカウントに対して適度のフォローやアドバイスをすることができず、「申し訳ないけどデリバリは任されてもらえますか」状態が多々発生しました。
結果だけ統計すれば、このような状態でデリバリ(実行)が失敗に終わることが生涯3回だけあります。共通点は確かに「適度のフォローやアドバイスをすることができなかった」ということでもありますが、個人的にはそもそもデリバリ・マネジャーのアサインメント・ミスもあったなあと最近ふりかえっています。
アカウントマネジャーの使命は「セールス&デリバリ」なので、広義に言ってしまえば
1つの大きなアカウントを獲ってデリバリもばっちり担当、でも良く、
十分に多数のアカウントを獲って各デリバリは適切なデリバリ・マネジャーに任せる、でも良く、
もしくはそんな極端じゃなくて、適度な数のアカウントを獲って、一部はデリバリもばっちり担当、残りは適切なデリバリ・マネジャーに任せる、でも良いのです。
デリバリ・マネジャーにとっても、アカウントマネジャー同様に、「自分が獲ったアカウントじゃない」というオーナーシップ欠如のリスクが存在します。理想論でいえば、アカウントセールスの場に、デリバリを任せる予定のデリバリ・マネジャーには同席して共に活動してほしい。
セールス・ステージから活動してもらうことによって、どのように仕事内容、スケジュールや成果物、要員体制が決まっていくのか、何をどんな背景や事情のもとでクライアントと制約事項や前提事項として握っていくのか。そういう過程を一緒に過ごすことで、そのアカウントに対する強いオーナーシップがうまれます。「自分も一緒にアカウント獲得し、そのアカウントのデリバリは自分が担当する。だから自分が責任もって実行し、成功させなければ」という意識を持たせるのです。
もっとも、すべてのアカウントでこのように予定するデリバリ・マネジャーを同席、帯同させることも難しい。その場合は、アカウント獲得後すみやかに、デリバリ・マネジャー(とその他のメンバー)に対して、「動機づけ」(当社ではインダクション「Induction」といいます」を丁寧に行います。
アカウントマネジャーにも、「自分で獲ったアカウントじゃないから」みたいなオーナーシップ欠如に対しては厳しく指導しているつもりですが、デリバリ・マネジャーも同様で、「獲る前に自分が内容合意したアカウントじゃないから」みたいなオーナーシップ欠如に対しては厳しく指導もします。
一方で、前述のとおり、そうはいっても「アサインメント・ミス」を起こしてしまうと、オーナーシップを持ったところで厳しいチャレンジが待っているだけ。フォローを怠ると失敗してしまいます。当人が基本的能力をちゃんと持っていても結局は「持ち腐れ」。
そういう、マネジャーの能力をアカウントにマッチングさせる洞察力や、マッチングさせていく調整(≒教育)能力が(当時の)自分になかったがために失敗はおきます。すべては自分の責任です。
クライアントからクレームを言われるたびに過去の失敗から学んだ教訓を胸に、なんとしてでも解決せねばと奔走します。早く気付いて十分に速やかに対処すれば、前の関係より超回復できるかも。そう思って頑張るのです。このときも、アカウントマネジャー(自分ではないとき)やデリバリ・マネジャーと早急に協議して、「みんなでオーナーシップをもって」迅速で的確な対処を考え、実施していきます。
・・・まあ、ほんとはクレームが出ないことが理想なんですけどね(苦笑)