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心の抽斗を整理するのに自分史が役立つ

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ビジネス系メルマガとして有名な「平成進化論」を読んでいたら、
村上春樹氏の「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」からの
一節を紹介していたのですが、
それが、まさに自分史の効用について言い表わしているような内容だったので、
孫引きになりますが、引用させてもらいます。

「人間は誰もが、数十年生きるうちに
記憶や心象を積み重ねています。

しかし多くの人はそれを心の抽斗にでたらめに
投げ込んだままにしてしまいます。


もし彼らに自分の記憶をきちんと整理するようにと
求めても、たぶんどう手をつけたらよいか
わからないと思います。

でもしかるべきシステムを設定し、自己訓練をすれば、
多くの人は自分のイメージをある程度うまく整理できる
ようになると思いますよ。


僕の小説も自分の心の中の抽斗をひとつひとつ開けて、
整理すべきものは整理し、人々の共感を呼べるものを
ひとつひとつ取り出し、文字で表現し、
人様に見てもらえるような形にしていくのです。

ですから、整理に取りかかった時点では、
僕自身抽斗からどんなものが飛び出してくるか、
それはわかっていないのです。」

私たちの深層意識には、
これまでに経験してきたことの記憶や心象風景が
整理されずにバラバラに投げ出された状態になっていて、
それらが、放っておくと無意識のうちに、
自分の行動や考えることにいろいろな影響を与えます。

自分史をまとめることで、
自分が経験してきたことを振り返って意識化し、
それらの意味を改めて考えてみることで、
自分の行動や考え方のクセを把握し、
より意識的、自律的に考え、行動できるようになります。

自分の経験してきたことをそうやって整理しておけば、
それらを自己表現やコミュニケーションの材料としても
効果的に使えるようになります。

村上氏が書いているように、記憶を整理しているうちに、
忘れていたことがいろいろと思い出されてきて、
何が飛び出してくるのかわからないところも自分史の面白さです。

自分史を、単なる自分の記録としてではなく、
よりよく生きるためのツールとして使ってもらえたらと思います。

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