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顧客サービスとITのおいしい関係を考える

グルーポンは本当に「お得」なのか?

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年末の騒動になった例の「おせち」問題は、Googleで「おせち」と入力しただけで「グルーポン」や「おせち問題」が候補リストに挙がってくる勢いです。

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すでに新聞やネット上で詳細が出ていますし、グルーポン・ジャパンのサイトに【バードカフェ「謹製おせち」についてのお詫びとご報告】が掲載されていますので、ここで繰り返すことはしません。

今回の件はさておき、グルーポンのサイトには、飲食や宿泊関連のサービスで割引率50%以上の「お得」なクーポンが出ています。私は、このような半額以下のクーポンを利用することが本当にお得なのか、疑問に感じています。

飲食や宿泊に限らず、サービスを提供するための「原価」が存在します。飲食業では食材の原価率を30%以下にすることが、経営を安定させる一つの目安となっています。仮に5,000円の料理コースとすると、食材原価は最大1,500円の計算になります。

このコースをグルーポンで半額の2,500円で提供した場合、店の粗利は1,000円しかありません。この粗利から、人件費、家賃、光熱費、内装等の減価償却費、さらにグルーポンに対する手数料を払わなければいけません。これで店の利益が残るのでしょうか。どう考えても単体では赤字じゃないでしょうか。

顧客がリピーターになってくれることを期待して宣伝費として割り切って、損得を無視する経営判断はアリだと思います。ただ、半額だから来るような顧客が、次回は定価でリピーターになってくれるのか、私は疑問に思っています。

本当の原価が顧客から見えにくい飲食・宿泊で半額以下の特別料金を設定することは、もともとの定価の妥当性が疑われるリスクが高いと考えます。私は疑り深い性格のためか、半額以下と言われると「実は普通より安い食材を使っているのではないか」「もともとの値段がそんなに高いものではないのではないか」と考えてしまいます。店舗側が通常料金と全く同じ料理やサービスを提供していたとしても、利用した時に小さなトラブルでもあれば、「半額クーポンの客だから扱いが雑なのでは」と勘ぐってしまいます。

これは店舗と顧客にとって望ましい関係なのでしょうか。「お金を払ったのに楽しくない」、「値引きしたのに喜ばれない」ことにならないでしょうか。

私は、ぐるなびのような10%程度の割引やビール1杯のおまけが付くサービスはよく利用します。通常の企業努力の範囲内と考えますので、定価の妥当性を疑うことはありません。しかし、お金を払った上に余計な心配までしたくないので、グルーポンで少なくとも飲食や宿泊を利用することは今後もないでしょう。

優れたサービスに対して適正な金額を払って、疑うことなく安心して楽しみたいと考えます。

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