BitTorrent DNAを入れると不幸になる(かも)
この一週間ほど自宅のインターネット接続が不安定だった。ブラウザやメールを使っていると、いつの間にかインターネットに接続できなくなっている。DNSを引けなくなった時のような感じで、タイムアウトになってしまう。しばらく放置すると接続が回復するようだ。これは困る。
我が家のインターネット環境はケーブルテレビのインターネットサービスを使っている。自宅に引き込まれた回線にケーブルモデムがつながっていて、そこからさらに無線/有線ルーターにつながっている。今回のトラブルは、有線と無線の両方かつ複数のパソコンで発生した。となると、パソコン側が原因とは思えず、インターネットサービス、モデム、ルーターに原因がありそうだ。
始めのうちは「またケーブルテレビの回線トラブルか」と思っていたのだが、日に何度も頻繁に発生する一方で、ケーブルテレビ会社のWebサイトに回線トラブルのアナウンスは全くない。「これは変だ」ということで、トラブルシューティング本気モードに切り替えた。
まずパソコンのウィルスチェックをした。これは問題なし。
次はトラブルが起きている時に、ケーブルテレビ会社のサポートに電話した。サポートの担当者は丁寧に説明してくれて、モデムとモデムまでの回線に問題がないことを確認してくれた。となると、残るは無線ルーターだ。
ルーターの電源を入れ直すと一時的に復旧することがわかった。ルーターのログを見てみると、
"NAT TX-ERROR List Create Error"
が何度か出ている。ネットで検索してみたところ、わりと有名なエラーでルーターのNATテーブルのオーバーフローが原因のようだ。特にNATテーブルが小さいNECのルーターで起きやすいらしい。たしかに自宅はNECのルーターだ。試しにルーターをはずして、モデムにパソコンを直接つないで様子をみると、トラブルは起きないようだ。
私は以前に某メーカーの安物ルーターで失敗して以来、少し値段が高くてもNEC製品を買うようにしている。実際にこの数年間、ルーターのトラブルは全くなかった。NEC製品を選んでよかったと思っている。ルーターは24時間電源が入っている。そろそろ寿命かと思い、買い換えを考えつつ、さらに調べてみた。
そして、意外なところで答えを発見した。ここのブログによると、NATテーブルオーバーフローの原因は、BitTorrentだと言う。
そういえば、心あたりがあった。ある動画共有サイトに行くと、「回線負荷軽減にご協力ください。[BitTorrent DNAをインストール]」と言われる。普段はアヤシゲなソフトウェアをインストールしないようにしているが、このサイトはちゃんとした会社の子会社であることもあって、つい「回線負荷軽減にご協力」してあげようとお大尽気分になってしまい、BitTorrent DNAをインストールしたのだった。たしかにトラブルが出始めたのはその後からだ。
BitTorrent DNAをアンインストールしてみたところ、トラブルは全く起きなくなった。ルーターのエラーもなくなった。やはりBitTorrent DNAが犯人と断定。
あらためてBitTorrent DNAの説明を見てみた。
DNAは、お客様のコンピュータが、他のDNAユーザーが保持している同じファイルの複数の断片を同時に取得することでダウンロードを高速化します。DNAソフトウェアを使用してお客様がファイルをダウンロードすることによって、今度は他のユーザーが、お客様からそれらのファイルの断片をダウンロードすることができるようになります。その結果すべてのユーザーのダウンロードスピードが最大化されます。お客様がダウンロードしたファイルだけが他に利用可能になります。お客様の同意によって、他のユーザは、お客様のインターネット接続を使ってお客様の保持するファイルの一部をダウンロードできるようになります。
つまりBitTorrentは(安全な)Peer to Peerのソフトウェアだったわけだ。そういえばどこかで名前をきいたような記憶が。
よく考えずにインストールしてしまった私が悪いが、自分のサイトの回線負荷を減らすために、利用者にPeer to Peerソフトウェアのインストールを勧めるやり方は、ちゃんとした会社の子会社としてどうだろうかと考える。
私はトラブル解決に時間を使っただけでなく、あやうくルーターを買い換えるところだった。原因がBitTorrentであれば、ルーターを買い換えても解決しなかっただろう。幸い無駄なお金を使う前になんとか自力で解決できたが、同様のトラブルで原因不明のまま解決していない人がいるようだ。電話を受けるISPのサポート担当や、製品を不良品よばわりされるルーターメーカーは、いい迷惑に違いない。
BitTorrent DNAを入れてはいけない。
先日のエントリでそのサイトにある動画をご紹介してしまった責任があるので、このブログを書いた。