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【Wendy】Webサイトのコンテンツ管理を考える

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2日目に聴いたセッションで最も興味深かったのは、「ブランド、プロフィット、コスト、デザインを追求するWebコンテンツ管理とは」と題したパネルディスカッションでした。ずいぶん欲張ったタイトルですが、一言で言えば、企業のコンテンツ管理はどうあるべきか、という内容でした。

パネラーは、ソシオメディア株式会社 代表取締役社長 篠原氏と、楽天株式会社 編成部 清水氏でした。モデレータは、日本オラクルの渡邊 担当シニアマネージャーでした。

始めに渡邊氏からオラクルが考えるCMSについて、説明がありました。以下は、要約です。

これまでの横並びでWebサイトを持つという意識から、Webサイトを広告チャネルとしてフルに活用しようという方向へ変わってきています。

Webサイトは、顧客1人あたりのコストが安いです。いかに競合より早く発信できるかが重要な、スピード時代になっています。企業価値を向上させるツールでもあります。

シングルソース・マルチユースですべてのコンテンツを統合しなければいけません。ターゲットに応じたサイト作りが必要です。企業の不祥事の対応や期限切れコンテンツを削除するなど、リスク管理を考えなければいけません。

オラクルは、OpenとFlexibleがキーになると考えています。

Openは、様々な言語や開発環境などに対応することです。Flexibleは、柔軟性のあるアーキテクチャや、コンテンツとデザインの分離を意味します。iPhoneなどでどこからでも入力できるようにすることを含みます。

続いて、パネルディスカッションになりました。以下は、興味深いと思った発言の抜粋です。

コンテンツとは、人が人に何かを伝えるために編集したデータの集まりである。

CMS(Contents Management System)はシステムではなく、考え方・概念と捉えた方がよい。

ECM(Enterprise Contents Management)は、大企業だけのものではない。小さい企業を含む企業のコンテンツを管理するのがECMである。

CMSは、Webだけを管理するためのシステムではない。Webを管理するのは、WCM(Web Contents Management)である。

企業全体を取り巻く情報に目を向けるべきだ。

コンテンツ管理は、コンテンツのライフサイクルを生成・管理すること。(既存データの)収集、管理、発行(発行先はWeb、マニュアル、企業パンフレット、シンジケーション)の3つで構成される。

ブランディングにはWebサイトのユーザインタフェースが大事。40サイトがある楽天では、UIガイドラインを作って、編成部がグループのサイトを監査している。

データベースのデータを正規化すると同様に、同じものをあちこちに置かないようにする。データはデータベース、コンテンツはCMSで一元管理する。

コンテンツ管理でたいへんだったのは、中身のコンテンツをきれいにすることだった。コンテンツの整理と部品化は時間がかかる。楽天では、定義・収集・整理・加工・入力に2年かかった。

シングルソースにしておくことが重要。伝えるべきコンテンツに魅力があり、使い回せる状態になっていること。

現状のコンテンツの分析フェーズを考慮する。誰のためにどういう用途で使われているかを把握する。

情報アーキテクチャ(情報を整理する仕組み)を持つ。分類のやり方や順番に目を向ける。DITAを参考にするとよい。DITA(Darwin Information Typing Architecture)は、技術情報を制作・発行・配布するためのXMLに基づいたアーキテクチャの標準規格。

ROIを考える前に、売上や手間などの目標をKPIとして定めるべき。

貯めるべきはコンテンツであり、システムではない。CMSを導入した結果、デザイン、ユーザインタフェース、ワークフローを変えにくくなるようではよくない。

変更に強いCMSを選ぶべき。将来の乗り換えを想定して、構造化されたコンテンツを切り出す方法を考えておく。

DAM(Digital Asset Management)、DRM(Digital Rights Management)、自動組版などを組み合わせるかどうかの全体ITプランを持つ。

Webサイトの構築はデザイン面に目が向きがちですが、実は普通のシステム構築と同じだと理解しました。CMSソフトウェアを導入しただけでは、コンテンツ管理はできないということです。なんだ、そういうことだったのかと、目からウロコの思いでした。たいへん参考になりました。

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