「私、何歳だと思いますか?」という不毛な問い。
仕事で、年齢を聴くなんて場面はほとんどないのだが、何かの拍子に年齢が話題になることもないわけではない。
「失礼ですが、おいくつですか?」
と問うと、
「何歳だと思いますか?」
とかえってくることがある。
この「何歳だと思いますか?」は、鬼門だ。
そう問うている本人は、たいてい、「若く見えるはず」と思っているのだから、年齢は低めに言う必要がある。
たとえば、45歳の人と会話しているとして、
「何歳だと思いますか?」
と本人が聴いてきたら、
『45-6歳、いや、もうちょっと上かな。48歳くらいかな。』と考えた上で、相手の気持ちを忖度して、
「40歳前半くらいかな?あるいは、30代後半とは・・?」
と言わなければならない。
この時、あまりに正直に、「48歳くらいですか?」とでも言おうものなら、悲劇が訪れる。
相手は怒り出すかもしれないし、悲しみのどん底に落ちていくかもしれない。
だから、「何歳に見えますか?」は、愚問だ。
不毛だ。
不要だ。
私は、20代のころでも今でも、年齢を聞かれたら、素直に正直に答えるし、聞かれなくても自己開示することもある。たとえば、自己紹介で、一応年齢も言っておいたほうがいいかなと思えば、言う。
あれこれ推測されるのもなんだし、最初から「55歳です!」と言ってしまえば、それ以上の突込みも来ない。
そもそも、生きてきた歴史があるのだから、恥ずかしいことではない(私は)。
話は違うが、41-2歳くらいのころ、ある企業で講演した時、その様子をブログに書いてくださった方がいた。
200人くらい集まっている会場だったので、そのブログ主がどういう方かは全くわからないのだが、ブログにはこうあった。
「今日は、田中淳子さんという、45歳~50歳くらいの講師が会社に来られて、講演を聴いた」
自分から年齢を包み隠さない私も、さすがにこれはがーんと思った。
「何歳だと思いますか?」
の答えが、自分の年齢よりうんと高めに思われることだってあるのだから、こういうリスキーな質問はやめたほうが無難なのだ。