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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

「赤ちゃん言葉を使わないで!」というセリフにぐっと来た

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母と天王洲アイルにある「銀河劇場」でスタートした『ペコロスの母に会いに行く』というお芝居を観にいきました。途中20分の休憩はあるものの、全部で3時間ほどもありました。

主役は、藤田弓子さんで、準主役なのが東国原英夫さん。

原作は読んでいないのですが、簡単に言うと、母(藤田さん)が認知症になって、息子(東国原さん)が自宅で介護するのも限界となり、介護施設(グループホーム)に入居させ、罪悪感を感じながらも、なんとか折り合いをつけていく・・・といった話です。

もちろん、お芝居なので、認知症といってもソフトでしたし、本当に全く会話も成立しないほどの認知症ではもちろんなくて、もっと現実はきっついぞーとは思うけれど、それでも、介護に直面した人ならきっと体験する出来事、頭に浮かんでしまういろんな考え、苦しみ、悲しみ・・・みたいなものが散りばめられていて、客席からもすすり泣く声も聞こえてきました。自分とダブる人にとっては、ぐっとくるシーンが何度もあって。

ケアマネージャさんが来て話す場面。
介護施設のチームのテキパキした感じ。
周囲が色々言うこと。

そんな中で、一番印象に残ったのが、介護施設にいる住人と介護士たちが遠足に出かける場面で、途中休憩時間に、若い介護士が、

「おちっこちたいひと、いないかなぁ?」 (おしっこしたいひと、いないかなぁ?)

と全員に声を掛けたところです。

非常に違和感のあるシーンでした。

それまで、その若い介護士がとてもきちんと誰とでも話していたのに、突然の赤ちゃん言葉。

すると、介護されている認知症の女性が、突然、

「赤ちゃん言葉で話すのは辞めてください。私たちは、こんな風になっているけれど、決して子どもになったわけではなく、人として、何かが欠けたわけでもなくなったわけでもないんです」


みたいなことを言うのですね。

おお、このセリフを言わせたかったからの、唐突な赤ちゃん言葉だったのか、と納得。


私はかねがね、れっきとした大人に対して、「赤ちゃん言葉」というか、「幼児に話すような言葉」で話すのが気に入らなくて、以前もブログに書いたように思うのだけれど、母が入院していた時、若い看護師が母に、

「田中さぁ~ん。朝ご飯は、ちゃんと食べられたかな? お熱はどうかな?」

等と言う場面に遭遇し、

『1回は許してやるけど、2回目に見かけたら、絶対に文句いうかんね』と心の中でぶーたれたことがありました(この時は、結局、1回しかその場面に立ち会わなかったため、言わずじまい。今でも、指摘すればよかった、と少しだけ後悔してます)。


要介護でも入院患者でも、なんだか弱っていて、情けない感じを醸し出しているかも知れないけれど、だからといって幼児なわけではなく、生きてきた歴史はちゃんとあり、大人も大人、大の大人なのだから、介護従事者も医療従事者も、決して、幼児に話すような言葉を使ってはいかんのです。

被介護者や患者だけではなく、その家族も傷つく。

・・・・『ペコロス・・・』のお芝居を観ていて、そんなことを思い出したのでした。

今度、原作も読んでみようかな。




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