新入社員研修の風景③:「ゆとり、ゆとり」って言うな!
もう何年も前から、口を酸っぱくして言ってますし、聴いていいる方も耳にタコ焼きができるほど聴いているようにも思いますが、これも大事なことなので何度でもいいますよ。
新入社員が「指示待ちだ」、とか、「言われたことしかしない」、とか、「働く意欲がない」、とか、まあ、そういう現象を見るにつけ、チョーベテランの先輩たち(簡単に言えば、中高年)が、
「やっぱり、ゆとりだから、ですかね」
と苦笑いしながら言うわけなのですけれども、新入社員にしてみたら、
「ゆとり、ゆとり」って言うな!
だと思うのですよね。
自分で選べない教育制度から借りてきたあだ名をつけられて、「ゆとり世代」というならまだしも「ゆとり」って名前みたいに呼ばれて。
今の若手は、決して「ゆとり」なんかなくて、「ゆとりない」世代です。
私が入社した30年くらい前のころの上司たちのほうがよっぽど「ゆとり」いっぱいあった。
何をしているかわからない中高年。
16時くらいにはなぜか外出し、そのまま飲みに流れる中高年。
なぜか朝も来ていない中高年。
でも、黙っていてもそれなりに売れるので、あまり必死の努力をしなくても売上前年比120%とか。
80年代なんてそういう時代だったように思うわけです。
ああ、いいなぁ、「ゆとりがあった中高年」。← 嫌味ですw
今の若手は、30年前(20年前でもいいけれど)の若手と違って、頑張れば給料が上がるとも思えず、いや、それよりも、会社ってのはいつどうなるか分からないってことを幼いころからTVや新聞でさんざん観てきて、企業の栄枯盛衰を今でも目の当たりにしていて、ゆとりなんかないわけです。
「ゆとりがない世代」
もうね、本当に、若者のことを「ゆとり、ゆとり」とラベル貼るのはいい加減にやめましょう。
それと、「ゆとりだから、ですかね」と言った瞬間に思考停止に陥っているのは、先輩たちのほうです。
よおぉぉぉく見てください。若手だって、他の年代と同じように、一人ひとり違います。
それに、
「指示待ちだ」
「言われたことしかしない」
「意欲がない」
というのは、今に始まったことではないのでは?
自分が若手だった時も「指示待ち」だったんじゃないかしらん?
だって、何を自分で考えて動けばいいか、なんて新人に判断つかないもの。
「言われたことしかしない」のではなく、「言われたことをするのに精いっぱい」ってことはないかしら?
「意欲がない」と言うけれど、「ポジションやお金」に魅力を感じていないだけ、であって、好きなこと、やりたいことはあるに違いない。
先日お会いした新入社員の方たちはこんな話をしてくれました。
「人を喜ばせる仕事がしたいと思っていて、ITを使って世の中を、お客様を喜ばせることが出来たらいいなぁと思い、ITエンジニアを選びました」
「長く働きたいと思い、長く働けそうな、インフラに関係あるITの仕事を選びました」
「自分の生活は自分で養うことは当然なので、とにかく就職しようと思いました。他の選択肢はありませんでした」
しっかりしているのです。
ちゃんと話したら、彼ら・彼女らなりに考えています。
だから、ちょっと自分の予想と異なることがあったとしても、簡単に「ゆとり」って言うのは、もうそろそろやめようではあーりませんか。
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というわけで、ですね、上記と関係ないというかあるというか、あんまり関係ないのですが、「新入社員」に関するコラムを書きました。
言葉のチカラ 第29回 ヤァ! ヤァ! ヤァ! 新入社員がやって来る――新人が言われてうれしい言葉、戸惑う言葉
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