リクルートスーツは「黒」じゃなくたっていいじゃないか。
昨日、TwitterのTLを眺めていたら、「リクルートスーツは、「黒系」を選べ!」という記事タイトルが飛び込んできて、ぎょっぎょぎょっとしてしまった。
東洋経済オンラインの記事である。
「リクルートスーツは、「黒系」を選べ!」
うーん、うーん。本当にそうなのか。
中に、「ストライプなんか着て行ったらダメ」といったことも書いてある。
そりゃー、ピンクとグレーの縞々とか、白と黒の縞々だったら、「この学生は、いったい何を目指しているのかな?」とは思うけれど、それと「黒系で!」というのは話が違うと思うのだ。
じゃあ、カジュアルでいいのかジーンズでいいのか、といえば、お仕事のお見合いみたいなものなので、そんなところで、カジュアルで「個性」なんか出さなくいいと思うのだけれど、だからといって「黒系で!」と縛りをつけるのとも話は違う。
つまり。
面接受けるのだから、「スーツ」くらい着て行けばいいじゃないか。それは、相手に対する敬意でもあるし、自分を「それなりにちゃんとした人」に見せる効果は十分ある。
いつもはつんつん髪を逆立てていても、面接行くときは、七三なんて昭和なことは言わないけれど、少しおとなし目の「つん」くらいにしておくってのもまあ礼儀だろう。
だからといって、みんながこぞって「黒」というのは、どうなのか。
以前、人事みたいなことをしていたことがあり、新卒採用に関わったことがあった。その時、来る学生来る学生、みんな、黒いスーツ、女性なら髪をきりっと後ろで束ねていて、スーツの襟の上に白いシャツを出すスタイルで、「同じ人が来るー」とめまいしたことがあった。
1日5人面接して、夕方「今日、来てくれた学生の中で、どの人が印象に残ったか」といった振り返りをする際、思い出せないくらいに同じなんである。
「人は、見た目が9割」とか言う本が前に流行ったけれど、「見た目で覚えていること」というのがあるので、黒一色だと、「ほら、あの髪が長くて、グレーのスーツで、アメリカに留学して、って話していた人」といった言い方もできない。なんせ、全員黒。
これ、すごくきつかった。
記事には、「服装で目立とうとしてはダメ」ともあるが、「服装が違っていてくれたら、もうちょっと記憶にはっきりと残りやすいのに」と思ったものだった。
縞々であろうが、茶色のスーツであろうばベージュであろうが、採用担当は、なんとも思わないんじゃないだろうか。(いや、全世界の全企業の採用担当が何を考えているかは知らないので、無責任なことは言えないが、少なくとも「黒一色でお願いします」と思っている人はあまりいないと思う)
面接はファッションを競う場ではない。服装で個性を打ち出す場でもない、というのはわかる。
けれど、「黒一色で」と大の大人が指定するのもどうかと思う。
就職してからもずっと着続けられるスーツを買ったらいいのになぁ。
私の就職活動は1985年のころで、すでに「リクルートスーツ」は存在しており、大勢が紺を着ていた中、天邪鬼な私は、「似合いもしない紺のスーツなんて着られるかい!」と思い、モスグリーンの、しかも、ひざ下フレアースカートのスーツを着て就職活動していた。 勤め始めてからも何年かはそのスーツは着てていた。
30年前のことなんで、参考にならないだろうけれど。