流行が起こる本当のメカニズムとは?
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先月号のダイヤモンドのハーバードビジネスレビューは「ソーシャルメディア戦略論」。日本ではFacebookページの作り方が盛んに議論されているが、海外ではソーシャルメディアをどう戦略的に活かすかにファーカスが移っている。
この中で、社会科学者のダンカン・ワッツという人が書いた「流行が起こる本当のメカニズム」が興味深かった。
ワッツ氏は、これまでマーケッターが前提としてきた、「流行は影響力があるインフルエンサーを媒介にして大衆に広まる」という2段階論は実は誤りだと論じている。
これは、例えば、世の中に影響力があるアルファブロガーに自分の製品を紹介してもらい、そこをテコに大衆に広めるというキャンペーンはあまり効果的ではないということだ。
実は,流行に影響力がある因子は、「影響されやすい側がクリテカルマス存在することの方だ」と言う。
インフルエンサーよりも、影響を受ける側の方が流行を生み出す上で重要という見解は、これまでの見解とは逆なので面白い。本当は、影響されやすい側の規模と連結度が流行を左右するのだ。
アナロジーでは、大規模な山火事では、最初のたった1本のマッチが山を燃え尽くす。最初にどの木にマッチの火が点火するかよりも、木が密集して生えているという条件が山火事を大規模にするということかもしれない。
この議論を進めると、ここからは私の推論だが、流行を左右するのは「時代の空気」ということになるのだろう。
例えば、これまで日本の寄付市場はなかなか育たなかったが、今回の東日本大震災によって一気に広がっている。これまで寄付に馴染みがなかった人たちが当たり前のように寄付している。これも時代の空気が変わったということなのだろう。
マーケッターとしては、時代の空気を読む部分と時代の空気を作る部分、この2つをどう組み合わせることができるかがポイントになるだろう。
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