何故かオールド電卓はリッチな気分
都心に越して、自宅が狭くなってから、どうも腕時計やペン、電卓などの小さなモノを集めるセコイ趣味が多くなってしまった。電卓は、低価格製品開発の強烈なコンペティションの連続で、多くの参戦企業が敗退し、最終的にはキヤノン社とカシオ社の2社が残ったお話は余りにも有名だ。勝ち残った何れの会社は、今も電卓を作り続けてはいるが、もうそれほど楽しい儲かるビジネスではなさそうだ。
電卓戦争のストーリーはその後のパソコンバトルの時にも悪い先例として登場したりしたが、確かに庶民的には、一桁1万円くらいからスタートしたバトルが最終的に、8桁100円になるまで続いたと考えれば、小学校の算数の知識でもなんと800分の1になってしまったようだ。
何れの国にも、全てのメーカーが総当たり戦で戦っている様ではあるが、実はそれらの下々の戦いには参加せず、ひっそりと自分の時代が来る時を待ち続けている企業もあるようだ。電卓ではブラウン社がそういう不戦勝イメージだ。一方、一旦は、転けてしまったが、何とか復活して欲しいデザインコンシャスな企業に英国の「シンクレア社」がある。 同社が今は無きコムデックスで発表したブラックで薄ぺっらいモバイルNotebookを覚えているマニアも多いだろう。
昨今の日本では、ニューブランドを引っ提げ、電卓と言う既に枯れた市場に、一見マニアックで、チョイ(あくまでチョイだ。。)見掛けデザインコンシャスな雰囲気で参入する新興企業も登場してきている。もちろん、筆者の電卓コレクションにも既に加わっているが、ブラウンやシンクレアの電卓と列ぶには、まだまだ年期がかかりそうだ。電卓戦争で疲れ果てた日本から30年以上経っても、古さを感じさせない電卓はなかなか登場しそうには無いだろう。 戦いを知らない、戦わなかった、そういう経験も重要な場合があるようだ。