人材論-3
少しこれまでのエントリーと趣を変えて、久しぶりに「人材論」シリーズ。
人材論-1|人材論-2
最近では女性を含めて格闘技ブームが盛り上がっているが、そこでよく「心を折る」とか「心が折れない」などという言葉が使われることを知っている人も多いだろう。
つまり、最後まで戦意を喪失しない、モチベーションを保ち続けるという状態が、心が折れない、と表現している。
ベンチャー企業の創業時期においては、キャッシュフローを常に気にかけていなければならないし、本来の事業に集中することが許されないようなトラブルが数多くあるものだ。深夜業務に耐える必要も日常的にあるものである。そうした状況を耐える、というよりもかえって楽しめるような人材は得難い宝だと思う。
逆に、IPOの計画が長引いたり、逆に既にIPOしてしまっている企業はよほど魅力的なプランを策定しないことには良い人材を採れなくなってしまっていると思う。スタートアップの小さな会社で夢を見たいと思う人は最近では珍しくないし、人材市場が活性化していることによって、他社の給与水準がだいぶ分かってきている。隣の芝生はかなり青く見えるものなのだ。そんな状況下で自社で明確なキャリアパスが描けないとすると、優秀な人ほど「心が折れる」。別の機会を探そうと考えだしてしまう恐れがあるのだ。
今までのエントリーにも書いたように、Bloggerはやはり結構会社を辞めるものだ。というより、よりよいチャンスに巡り会う確率が高いのである。まして、エンジニアで言えば、オープンソースの普及によって、基本的に持つべき技術が普遍化してきているので人材の流動性が高くなっている。また、Web2.0に代表されるような技術上、ビジネス上の価値観に大きなパラダイムシフトが置きつつある今は、人気のある企業や業種に人材が一極集中しかねない。現にMSとGoogleの引き抜き合戦は周知の事実である。
同時に、最近ではクリエイティビティのビジネスプランナーの需要が急速に高まっている。技術的なモデルが似通ってきており、そこに事業性を加え、マーケティングを行っていく人材の腕によって勝敗が決まりかねない状況になってきたことが背景にある。
Blog検索を例にとってみても、それが必要となればありとあらゆるポータルやベンチャーが、次から次へと同様のサービスに参入してきている。そこで差が出るのは僅かな技術的な差異を最大限にして自社に優位に運ぼうとする、ブランディングやマーケの手腕なのだ。
(アメリカの ベンチャーが凄いのは、マーケが分かった技術者が創業しているか、創業者が技術しか分からなかったら、優秀な経営者をきっちりスカウトしてくることだ)
このような状況のもと、2006年はこれまでの数年間以上に、人材が大きく動く年になると思う。しかも、クリエイティブ・ディレクターやプランナー、あるいは経営層にかなり近いレベルの大移動が起きる可能性が、日本においても見られると予想している。
Web2.0の到来が、本当にパラダイムシフトを伴うものであるとすれば、それは日本における就業体系そのものも破壊し、各人に「キャリア2.0」の姿を垣間みさせる可能性が高いのである。
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Google Baseもそうだと思うが、人材マッチングのサービスはWeb1.0においてもドル箱なのだが、今後Web2.0において、上述の環境からよりいっそうその傾向は高まると考える。